疲弊する専門職

構造設計者の責任:契約関係なくとも不法行為責任あり
ちと古い記事ですが。
なんでもかんでも、『注意義務不足』で断罪される恐ろしい世の中になりました。
これは誰も専門家になろうと思わないし、やったら負け・知識があったら負けの世界です。
産婦人科や小児科医が圧倒的に不足するのと同じ理屈ですね。
前の会社でも『水セメント比とか専門用語は現場監督には理解できない。構造設計者がすべて責任を持つべき』『コンクリート強度の発現に構造設計者が責任を持つべき。調合計算があっているか責任取れるのか!』とか、バカバカしい理由で私に突っかかってきた部署がありましたが、そんな虫けらが跋扈する会社では、職能としての構造設計はやっているだけ無駄だと悟りました。やったら負けという絶望的な展望が現業で設計をやっている人間に漂っています。
ちなみに、私は怒り狂って叩きのめしましたが、これで怒らない現業もどうかと思った。
ものつくり(笑)
設計者としての良心(笑)
設計の品質(笑)
私は、この手の世の中と付き合うのがばかばかしいので、一抜けたしました。
基本的に、やったら負けの評論家一人勝ちの世界では戦うだけ無駄でしょう。
プロジェクトが終わって竣工すると普通は感動するみたいですが、私には墓標や地雷に見えて仕方ありません。今でも若干そうですが。
JSCAとかも、いかに自分たちが専門家として有能か、裸の王様をやっているだけなので、技術者の流出は続くでしょうね。特に構造設計は精神的な故障率が高いですし。


管理職・専門職の死亡率高まる 2000年ごろ境に
まぁ、知っていたら負けの世界なので当たり前かと。
最近、率が下がっているのは自分で死ぬ前にさっさと辞めるからでしょう。ちょっと社会的レベルを下げると、働き口はいくらでもあるし。
30代の死因No1は自殺ですし、無事に40代まで生き残れるかなぁ。
会社辞めるときも『そんな小さな企業で責任が取れるのか!』とか一喝されましたが、お前らよりは私は頭がいいし、何かあったら首吊るし良いじゃんと思ったものです。私は、金目当てに設計していると非難されることが多かったですが、命を賭けているのだからその程度のフィーをもらっても良いような気がしています。
いろいろな企業の話を聞くと、構造設計の30代前半が異常に少ないみたいです。というか、業界で非常に少ない。みんな辞めたか故障したかで、会社からはじき出されてるみたいです。50代の人間は、そろそろ人材が疲弊しきってヤバイと気がついていると思いますが、二度と回復しないでしょう。中途採用で補充したとしても、結局ゴミ処理係に任命して3年で辞めるのが目に見えてる。あと10年くらいは、構造設計のレベルは下がり続けるでしょう。


Brava Desktop導入事例 竹中工務店様
へー、すごいねー(棒)

検図の精度を高め、業務の質を向上させるためには、図面データの変更されている箇所を確実に確認できる仕組みが必須だと考えていました。

検図ってこんなもんだっけ?
先日の『図面持たなくても良い現場監督』とか、すべてのものつくりのプロセスを積極的に破壊しようとしている稀有な会社だなぁ。すげーわ。最近、本当に何やるか分からんようになってるわ。こんなバカなことをやってて、5年後この会社は存在してるのか?
私は、こんな説明会があったら講師に椅子を投げつけて暴れる自信があります。もう、現業でやっている人間が、頭だけで仕事をしている人間を止められなくなったんだなぁ。


これも、ちと古めですが。
日本建築学会構造委員会・「これからの活動」に関する意見

大きな理由の一つは、建築士制度の変革であると考えている。機会があるたびに私はそのことを
訴えてきた。研究者を含む若手の建築構造技術者に対する「いじめ」である。
物事には、「バランス」が大切である。小さな専門職集団が「自分たちの専門知識・経験・能力が
いかに高いか」を叫んでも、それが自縛にしかならない場合がある。「弁護士」や「医者」と比較し
てみれば「構造設計一級建築士」がいかにバランスを欠いた資格であるかがよく理解できる。
一級建築士の資格を得た後、5 年間の経験をつめば、構造設計一級建築士になれるらしい。それ
ほどの経験年数を要する専門性とは何なのか、私には理解できない。
「研究」は経験として認められないという。研究が経験にならない構造設計とはどんなものなのか
理解できない。研究が経験にならないことで、大学や大学院生が右往左往することになる。大学の
研究室の活力が削がれる。元気の良い学生が集まらなくなる。優秀な人材を社会に供給できなくな
る。「悪循環」の加速機の役割を果たすであろう。

小さな専門職集団がいくら自分が有能であると叫んだところで無駄でしょう。
構造の先生の中でも、そこはかとない絶望感が漂ってますね。正しい認識だと思います。どの研究室も若手の後継者に悩んでいるみたいですし。
将来は、地方の大学か工専の先生とかで余生を過ごしたいなぁ。