蒐集中。。。。。。


あーまーぞーん!
というわけで、Amazon先生よりいろいろ到着。
いやー、現代建築はまったく興味を失ってしまったもので。
イマドキ出版されるのは、ちゃらけた構造デザイン(笑)しかないけどいいのかなぁ。他人事ながら心配になります。松井先生の設計の本は、図面や詳細・構造計算の抜粋や応力図が掲載されていて助かります。うんうん、そういう応力になるよねぇ。荷重軽すぎじゃね?ナドナド。
青木繁先生の建築設計講座は、新耐震前夜の執筆になりますがなかなか興味深いです。地震荷重の章で貞観地震に触れられていました。30年以上前の本です。ちゃんとそれを盛り込んで、現在の構造設計指針に帰結されています。津波はさておき、貞観地震の詳細は今までわかっていなかった!とかバカ騒ぎする建築家は嫌いです。
横山不学先生のエッセイは、WTCとかオペラハウスが建設途中の時代なので、その時代の構造設計感がリアルに出てます。そしてエッセイなのにやたらと具体的な数値が出てくるのが、エンジニアのおっさんくさいw。
でさぁ。大石寺の正本堂の構造設計記録がクソ高いのな。35kはすぐに出せんわ。誰か安く譲ってくれないかなぁ。大石寺の正本堂は取り壊されてしまいましたが、われらが坪井先生がまた良いコメントを残されています。

ところで、正本堂の耐久性について、構造設計担当者の恩師である東大の坪井善勝名誉教授は、こんなエピソードを紹介している。

──一九七一年(昭和四十六年)十月、日本で行われたIASS国際シェル会議に出席した折りのことである。

鉄骨構造の権威である、イギリスのマコースキー教授と、正本堂の技術的な問題について話し合った際、ある新聞記者が「この建物は何年ぐらいもつと考えられるか」と尋ねた。
すると、マコースキー教授は、「一万年」と答えたというのだ。坪井教授は記している。
「この建物がマコースキーの言う耐用年数を期待することは我々構造設計者の能力の限界を超えたことである。

すなわちいつまでも我々の次の時代、その次の時代……の人々が大石寺正本堂を大切に守るかどうかによって耐用年数は決定するのである」(注)

含蓄のあるお言葉です。
今回の地震で、技術過信が災禍を招いたという論調で整っていますが大きな間違いです。エンジニアは、自分でやっていることと自然現象を謙虚に受け止めています。バカ騒ぎしている建築家モドキと構造家(笑)どもをなんとか粛清したいと強く思います。


この手の古い本を読んでも、計算テクニックや申請テクニックはまったく身につきませんが、もっと大きな思想には触れられると思います。私は実務を始めてようやく5年目くらいですが、学生時代ではわからなかったろうし、新人時代に読んでもピンと来なかったと思います。
で、Amazonってかなり古書も充実してますね。探して驚きましたが、文化財の修理記録がかなり出品されています。そして、清水寺など大物はやっぱたけーわ。


続・戦前の建築が残り、戦後の建築が消えていく、という不条理
近代建築と文化財事業のあり方は、またそのうちまとめてアップするとして。
90年代後半から2000年代の建物は、将来的にまったく使いモンにならんだろうなぁ。だって、安っぽいもん。
こうして近代建築を見てみると、非常に力強いです。防水やり変えて、サッシュ交換してあれこれ設備更新すれば活用は簡単でしょう。
たとえば、村野先生の心斎橋そごうを取り壊して、なんちゃら工務店が設計施工でパチモンのそごうを作りましたが、やはりあれは最悪ですね。と、元村野事務所の方が言ってました。私もそう思います。なんというか、近代建築の総括ができていないまま風のままに今の現代建築があるような気がするのです。だから、何の力も感じないのでしょう。
近代建築絡みでいくと、辰野金吾。なんと驚いたことに、国内で彼の作品の研究者が一人もいません。東大は何をやっているのでしょうか?やはり、建築家という職能を絡めた上での近代建築の総括をやらないと、とんでもないゴミ建築ばかりを生み出すことになるのではと思います。
と、一介の構造屋が心配している時点で、今の建築業界のヤバさをお察しください。