東北地方太平洋沖地震被害調査報告

平成23年(2011年)東北地方太平洋沖地震被害調査報告
去年の夏に建築学会が出版した被害速報の方が充実してました。マンパワーの差でしょうが。地震波にしても、海溝型の巨大地震にもかかわらず長周期領域がそんなに大きくない考察がないわ。すごい気になっているのに。
やっぱり、スペクトルを見ても建物(特に免震)を見ても地震動としてはかわいいレベルだったなぁ。これまでの地震のスペクトルと今回の地震の比較がありましたが、柏崎と鷹取がバケモノすぎるのか。今回の地震は大雑把に言って、レベル1.5くらいかな。
構造物の被害状況で、引張ブレースの座屈とか雑壁のせん断破壊とか、明らかにどうでもいいものを取り上げて『被害だ!』と騒ぐのはやめていただきたいです。ホントに。正気なんでしょうかね?
雑壁の破損の項で、RCのマンションをオイル系のダンパーで耐震補強して、雑壁にひび割れがあるとか報告されていますが、当たり前じゃん。オイルダンパーが効き始める変形角まで変形が進まないと、ダンパーが効くわけない。というか、そんなたわけた補強の方が問題だと思う。最近、RCにオイルダンパーを混ぜて応答が減った!とか喜んで設計している例が多いのですが、正気なんですかね?私には理解できん。
免震の被害は特になし。応答変位が250mm程度は楽勝ですね。福岡県南西沖地震のときは、ダンパーの基礎がもげた被害がありましたが、今回は大丈夫だったのかな?別に指針が変わったわけでもないけど。そのときに変な設計してただけか。
木造も、被害は小さいなぁ。お寺の耐震診断したときなんか、地震前から1/30くらい柱が傾いていたけど、なんだか無事だったぞ。柱がずれたぐらい、大工で直せばいいから大騒ぎしなくてもいいのに。
ついでに、話題の対津波設計が掲載されていました。1階RC、2,3階木造の混構造でクソ真面目に解説してありましたが、浸水2mで計算してなんか意味あるのか?そのころには、家の人は逃げているはずで当初の『命を守る』構造設計はその目的を全うしているのですが・・・・・。ドンガラを津波の後でもどーしても残したいというのなら、止めませんが。
というわけで、いまひとつピンとこない被害調査報告でした。いかに実施設計をやっている人間とお上とが乖離しているかが良くわかりました。
ついでに、報告会に行きましたが見事に満席でした。みんな関心があるんだから、もっと大きいハコでやってくれ。関東で600人先着は無理だぞ。


地震被害調査は、新潟中越地震と今回しかリアルタイムで行っていないのですが。。。。
今回で際立って変だと思ったこと。

・体育館の屋根水平ブレースの切断が非常に多い
まぁ、ブレースが切れたところで落ちてくることはないから特に問題ないんだけど、避難所として使うときに気持ち悪すぎる。今までの地震では、ポツポツ報告されていたものですが、今回は多いと思いました。そこそこ真面目に設計している箇所のはずなんだけどなぁ。

・コストコのスロープ崩壊について
雑壁のせん断破壊で大騒ぎしている割に、新築で震度5強で完全に崩壊したくせに誰も騒ぎません。本来ならば、事故調査委員会を行政が設けて、発表できる範囲については世間に発表すべき内容だと思います。世間には、あれと似た構造形式が山のようにあります。そして、似たような施工をしているのでしょう。ニュースでは、結局施工不良とかおなじみのゴマカシでしたが、次の大地震で同じことがおきるんだろうなぁ、と思ってます。というか、施工不良だけであんな壊れ方をするとは思えません。明らかに設計に問題があります。
阪神大震災のときに比べて、あの手の自走式駐車場を有する巨大ショッピングの数は明らかに増えていますし、気になります。
かなり強固に情報統制しているのか、ぜんぜん建築構造界隈に話が出てきませんねぇ。設計施工はOさん。こういうときは、世間のために行政が動いて情報公開をして欲しいです。失敗が次にまったく生かせない。


京都大学教授・佐伯啓思 大きな議論消えたこの1年
相変わらず建築家が『復興だ!コミュニティだ!』とかバカ騒ぎしていますが、建築に携わるものとして上記のような被害報告会とかには行っているのかね?皆さん、被災地の瓦礫の前でバカ騒ぎしているだけで、これからどのように設計してゆくのが良いのか、なーんも考えてないような気がします。ピロティは津波に強い!とか、バカ騒ぎしている連中は本当にどうにかならんものか。あの連中ははっきりと害悪です。
地震の後に、木造で105角から120角に特に理由もなく変更した建築家とか、この不毛なバカ騒ぎの前ではとっても良心的に見えます。

震災直後 建築家はどう対応したか

企画監修した建築史家の五十嵐太郎・東北大大学院教授は、震災直後から多くの被災地を歩いたという。その上で「耐震化を進めてきた成果もあり、日本の建築は今回、地震そのものの被害はかなり抑えることができた。しかし津波には恐ろしく無力だと感じた。そんな中、いろんな建築家の活動が起きたことは、救われる思いだった」と語る。

いや、地震動がへぼかっただけです。
なんかさぁ、構造のことをまったく知りもしないくせに勝手に無力感を語っているのに非常に腹が立ちます。構造設計やってる人は怒らないのかね?私、目の前でこんなばかげたことを言われると殴る自信があるわ。

その他にも。

56:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/20(火) 09:31:10.15 id:rJQMZrNs0

東日本大震災で、地震による建物の崩落とか火災とかで死んだ人ってどれくらいいるんだろ
確実に阪神大震災以下だろうと思うけど

61:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/20(火) 09:34:01.61 id:g2jB6EOpO
>>56
全国で数十人
死んだ大半が津波

15:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/03/20(火) 09:18:08.39 id:xhkQzjz20

阪神大震災の時と建物の構造が全然違うからな

うーん。これは非常にマズい流れです。
というか、構造設計者自体、法律の中の耐震設計は知っていても、その根拠や地震動の特性については無知であることが多いことが問題か。どーすりゃいいんじゃ。


筑波大学地震防災・構造動力学研究室の境先生も似たようなことを。
http://www.kz.tsukuba.ac.jp/~sakai/clm.htm#23
名古屋大の福和先生も似たようなことをおっしゃっていました。
ちなみに、福和先生ははじめは構造技術者相手に情報発信していたのですが、構造設計者があまりのボンクラでバカで勉強しないのに業を煮やして一般向けに転向しています。その気持ちは良くわかる。福和先生の講演会に行くと、必ず構造設計者はごみくず扱いされます。私は、ちょっとレベルアップしたので、今では虫けらランクぐらいにはなっていると自負しています。
先生方は、もっと情報発信してくれ〜。