パチモン建築

がっかり名所と話題の大阪城。
確かに、城郭なのにRC。
城の中にエレベータがあるwwwありえねぇw
というのが普通の感覚です。
が、ちょっと調べてみると大阪城はなかなか恐るべき実態です。

まず、デカイ。石垣込みで60m近くあります。
構造は、なんとSRC。おそらく史上初に近い。
そして竣工は1931年です。
建築をかじったことがある人は分かると思いますが、この年は海の向こうではコルビジェのサヴォア邸が竣工しています。海外でモダニズムだとか、近代建築5原則とか、RCだとか喜んでいたときに、極東の地方都市では巨大SRCを寄付金で建造していたのです。建物本体で40mくらいだと思いますが、1930年代にこの規模のものを設計・施工するとは、とんでもないことです。特に構造やっている人からすると驚きです。
で、築80年を迎えてしまったわけですが、これは豊臣・徳川時代の天守閣がいずれも30年程度で消失してしまったことと比較するとダントツで大阪の風景になじんでしまっています。そもそもが、パチモンとしての博物館建築として何だか勢いで造ってしまったものが、現代の規準からすると文化財になってしまっていてもおかしくない風格を獲得してしまいました。
さて、大阪城はSRCのパチモンであることは疑いのないことですが、実力はホンモノです。これは文化的に価値があるものなのかどうなのか?そもそもSRCの天守閣は、建築の中でどのような位置づけにあるべきか?


このほかにも、小田原城名古屋城を伝統木造で造ろう!という機運が高まっており各地で議論されています。議論するのは大いに結構なのですが、RCだからニセモノというレッテルだけは勘弁して欲しいですね。どちらかというと、この手の復興天守閣はモダニズムの系譜として位置づけるのが時代を鑑みた正統派のような気がしています。やっぱ邪道?


丹下健三村野藤吾の建築を文化財にするに当たり、このあたりの議論が活発になってます。一応キーワードは1964年のヴェネツィア憲章において出てきたAuthenticityなる概念に集約されているみたいです。真正性、信憑性という訳語みたいですね。
この手の議論に出てくるのは、市民や地元建築家と大学の先生なのですが、こういう運動こそ第一線の建築家に活躍して欲しいです。ま、バカだから無理か。


モダニズム建築の保全について、現行のシステムでは文化庁が出張ってきて文化財として認定することが多いです。建物を維持・管理・活用する立場からすると、文化財認定されてしまうと一切触ることが出来ないので、設備の陳腐化により10年後には、またもや建物が死んでしまうことが危惧されます。
モノにもよると思いますが、近代建築(パチモン城郭含む)については文化庁ではなくて国交省管轄にして欲しいと思います。システムを変えることは非常に難しいですが、何とか今ある枠組みの中で活路を見出そうとすると、文化庁のようなカネもパワーもない官庁が主管だと、ちょっと物足りないのですね。

近代建築保存の技法

近代建築保存の技法


分厚すぎて読む気がせんな。。。。。