読了めも

ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会 (ハヤカワ文庫 JA ア 7-1)

ヘンたて 幹館大学ヘンな建物研究会 (ハヤカワ文庫 JA ア 7-1)


変な建物と言うより、へんな建具ですね。日ごろからぶっ飛んだものを見慣れているので何も変に思いませんでした。大体、昨日見てきた篠原一男設計の住宅の玄関扉、住人の身長はいったい何mだよ。。。。
建築家のイカレ具合をそのまま小説にしたほうが、シュールな笑いが取れると思います。
ついでに言うと、あまりにも現実の建築構造と乖離しているので気になってしかたがありません。第2話の高さ100mのワンルームマンションにしても、ちょっと豪華目の1Rと仮定したところでアスペクト比が10くらいになって非現実的です。立体駐車場のひょろいのでも、タワーマンションで抱えているタイプではなくて自立型だと25〜30m付近が限界のような気もしますし。
というわけで不満でした。やっぱり、建築をメインとしたミステリとか小説はイマイチなことが多いなぁ。学生のときはぜんぜん思いませんでしたが、やっぱり森博嗣のが本業だけあって一番正しく雰囲気を描写できていると思います。
あれこれイカレた建物は見ていますが、規模のでかさと度胸さ加減からすると、芦屋浜高層住宅がかなり印象に残っています。
芦屋浜団地 R不動産
築30年の鉄骨メガトラス構造。建築やっている人はみんな不思議に思っていますが、耐火被覆していないので、鉄骨をぺちぺち触れます。何でしてないかは知らん。


天地明察(3) (アフタヌーンKC)

天地明察(3) (アフタヌーンKC)


この作品読むと、このコピペを思い出します。

229:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2011/10/08(土) 13:10:17.84 id:Q5NzUkmhO

細いのに馬鹿みたい斬れる剣を平時でも常に長短2本持ってて
兜かぶるために狂ったような髪型してる武人
そいつらは尊敬されているのになぜか貧乏
さらに貧乏な農民がなぜか読み書きそろばん知ってるという罠
木と紙で出来た家がアホみたいに立ち並び、上下水を整備しちゃってる潔癖都市。

その怖い怖い武人どもを統べる江戸の大君(タイクン)
それを任命している、戦闘力などゼロに等しい京のミカド
平民どもが最高にシンプルかつ洗練されたデザインの家族の紋章を持ち
一流の芸術的版画を小遣い銭で買い集め、飽きたらそれで襖の穴を塞ぐ
街道に出れば女の一人旅も珍しくなく
旅行ガイドは充実、寺社めぐりにはツアーコンダクター付きのお得なパックツアー
一介の職人が話に聞いただけの蒸気機関を数年で再現し
隠居老人が天文学に凝って「歩測」で世界一正確な地図を作る
迷信深く無学な百姓や木こりが、冬の暇つぶしに微積分の問題を解いて遊んでる

そんな不思議の数々を、誰も不思議にも思わないのが何よりの不思議

日本の技術はガラパゴスなんじゃなくて、先鋭的で1週先を行っててついて行けないだけだと思うんだけどなぁ。とろくさい世界標準とやらにあわせても、その中でしかやれないわけですし。先鋭的な技術は、デファクトスタンダードの思想で、みんなが追いつくのを待つというスタンスでいかないと、本当に技術は廃れてしまうと思います。


閑話休題。ヘンたての推薦が綾辻行人だったので、十角館を15年ぶりに取り出して見取り図を見てみました。

作中の描写から、15m程度の大きさ。
平屋、木造、中央部にはトップライトあり。どうやって設計する?

・木造の場合
屋根を支える心柱がなくて、かつトップライトがあるので、相当の力技を使わないと屋根が設計できませんね。

・RC壁式の場合
屋根は相変わらず力技ですが、木造よりはマシ。穴あきシェルに持っていければ良い。なんだけど、耐力壁線が1点で交わるので、ねじれ剛性が低く、やってはいけないプランニングです。外周がうまい具合に高さの30%の壁長になるなら問題ありません。

・鉄骨造の場合
屋根は相変わらず力技入りますが、科学の力で何とか!あとはラーメンにするか・・・・。屋根勾配にもよりますが、スラストどうするべか。ブレースにしても壁線が1点で交わるので良くない形ですね。計算上、偏心率はゼロですが、ねじれ剛性が小さな架構になるのでよろしくないですぅ。

と言うわけで、こういう依頼が着たら、『いいから柱立てろ。天窓やめろ』ですねぇ。
この建物、平屋なんだけど真面目に考えると結構難しい建物です。


週末は男体山に行きたいのですが、行けるのか?