費用対効果

費用対効果を鑑みて合理的かどうか?
よく聞くお話です。
が、よくよく考えてみると費用も効果も算出の方法は星の数ほどあります。ここで合理的だと結論付けているのは、ある一定の手法によって算出された費用に対して、ある一定の手法によって算定された効果を最大化するためには、どのような変数を選ぶのが妥当なのか?という命題です。
構造設計ひとつするにしても、躯体数量最小化のアルゴリズムなんて簡単なものです。そのほかに損傷制御・鉄筋の通し筋・配筋のしやすさ・環境負荷etc....を混ぜていくと、境界条件は無限にあることになり費用も効果も算定することはできません。限られた時間のなかで意思決定しなければならないことと、熱力学の第2法則は破ることはできないことから、そもそも合理的であるという結論自体が、実は解が不定にならないために境界条件を絞っているということができます。
私のスタンスとしては、『合理的な解』というのはあくまで実現象を、その現象が存在する次元よりも1つ以上落とした次元に対する射影みたいなものだと考えています。われわれのスタンスとしては、真理の追究なわけですから、本来は影を追い続けることではないはずなのです。
というわけで、私としては『ゴーストの囁き』を重視して『合理的な解』というのは眉唾モノだと疑っています。
まぁ、合理的ですというのは人に説明するのが簡単なので便利ですね。その辺のところはうまいこと使い分けていきたいものです。


京都大学大学院教授・藤井聡 公共事業「仕分け」を仕分けせよ
あれこれ文化財的な何かもお仕事にしている身としては、さっさと予算つけてほしいです。
これから人口減になるから、これ以上の公共事業は必要ない。都市に住むことで、道路などのコストを下げて公共事業をダウンサイジングすべきである。なるほど『合理的』なお話で、誰もケチをつけることはできません。
ところが、お隣の国の覇権主義を遠めに見ていると、都市に日本人が集積化することで田舎に人がすまなくなり、外国人がゲットーを作っていても誰もとがめることはできません。となると、それなりに田舎でも日本人が生活できるようにインフラを作っていく必要があります。人口減になって、一人当たりの経済活動を滞らないようにするためには、単位時間当たりの移動量を増やす必要があります。となると、田舎と都市を結ぶ高速移動手段がますます重要になります。
別にどちらが正しいというわけではなく、現実的に考えるならば前記2つの妥協案が妥当ということになるでしょう。
最近は数字に弱い人が多いので、ちょっと解析結果とか見せられてころっとだまされてしまうんですよねぇ。構造設計で数字を作るのが特技の私としては、世間に出てくる解析結果のほぼ100%は何かしらの意図を持って鉛筆ぺろぺろしてます。別に悪いことではないのですが、あまりにもそれを真に受ける人間が多すぎるわ。

道路や鉄道に関する政府の現行「B/Cマニュアル」では、沿線の人口も商店も工場も一切増えないし、整備したからといって、都市が活気づくなんてことも一切ない。その事業によって雇用が創出される自明の効果も全く算定されずに、景気刺激効果なんてものは絶対にないという、恐ろしく非現実的な仮定が設けてある。

これはホンマかいな?こんな出鱈目な境界条件設定なんて、建築のピンと剛並みにひどいわw


若者よ、選挙に行って大儲けしよう
なかなか面白い考察なので、ぜひ拡散してほしいです。面白いレトリックながら、緊縮財政と積極財政の比較として非常にはっきりしています。
今回の選挙の争点は、TPPでも原発でもなく経済活動のあり方だと思います。
日本の場合は国土も狭いため、2大政党制とはいっても政策が似てくるので意味がないのではないか?と思っていたのですが、ここにきて民主党(とその他大勢+マスコミ)の緊縮財政と自民党の積極財政で大きく争点が分かれました。
ここはひとつ、土建屋としては積極財政で頼む!好景気というものを味わってみたいんじゃよ。。。。。といっても、業者が足りなさ過ぎるので10年くらいかけてじんわり方向で。
ヨーロッパの荒れ具合とか、マスコミの自由貿易を焚きつける論調を見ていると、完全に1920〜1930年代の空気です。気になっているのは、226事件の青年将校が東北出身者が多かったという史実。あのころは、東北のほうで飢饉があったにもかかわらず、政争に明け暮れる政治家を暗殺したという流れなのですが、これもまた土壌が出来上がっちゃってます。。。。。
アメリカでも、バットマンが生まれたのが世界恐慌時で、今年またバットマン映画でやってましたね。。。。


今週のお題「私の冬支度」
当然、ヒトを堕落させる悪魔の兵器『炬燵』です。
こたつを輸出したら、世界の紛争が減ると思いますが、紛争地域はみんな熱帯なんだよね。。。。きっと炬燵で堕落してないから血気盛んになるんだよ(適当)



「構造とその形態―アーチから超高層まで」購入。べらぼうに内容が濃いのでぱらぱら見ています。30を越えてから、自分が何も歴史とか技術をわかっていなかったことに気がつきました。
あとがきで『健全な建築思想は正しい歴史認識と技術を知ることで生まれる』みたいなことが書かれています。
Amazonで70〜90年くらいまでの古書を買いあさっていますが、本当にいいことが書いてあります。最近のくだらない建築家の馬鹿げた妄言を目にするよりかは、よっぽど勉強になります。

構造とその形態―アーチから超高層まで

構造とその形態―アーチから超高層まで

  • 作者: ローランド・J・メインストン,山本学治,三上祐三
  • 出版社/メーカー: 彰国社
  • 発売日: 1984/01
  • メディア: 単行本
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2000円で購入しましたが、良い本です。