読了めも

夜の底は柔らかな幻 上

夜の底は柔らかな幻 上


ファンタジスタ恩田の面目躍如!
SFスリラー→AKIRAの超能力バトル→地獄の黙示録→なぜか粘着サイコパスストーカー男の愛が実る!そしてこの無茶な話がなぜか高知県で起きる!地獄の黙示録と土佐は1mmも関係がないと思いますが、これがまた良いのです。
読んでいない人にはさっぱりわからないと思いますが、いつもの恩田陸です。
やっぱ、最初の10ページで一気に引き込む具合はハンパないですわ。ブン投げエンドも予定調和ですし。
『夜の底は柔らかな幻』は久保田早紀の楽曲。すぐに分かる人はオッサンですよ。
「夜の底は柔らかな幻」作家 恩田陸さん
で、恩田陸さん・・・『ダンデライオン』マダー?(・∀・)っ/

七つの大罪(1) (講談社コミックス)

七つの大罪(1) (講談社コミックス)


鈴木央氏、少年誌のジャンプ・サンデー・チャンピオンに続き、マガジンでのデビュー。4大誌を制覇したのはすごいことです。『金剛番長』結構好きなんですよ。
で、七つの大罪。はいそこ!ハガレンのパクリとか言わない!
1巻なのでさっぱり全体像は見えませんが、少年漫画に久しくなかった冒険しているという空気が出ています。なんとかという海賊漫画は、さっぱり冒険していないもので。
あとは、やっぱり女の子キャラがいいわ。あの体型とバランスは素晴らしい!でも、ぱんつの書き込みに執念を感じないのは、男の子としては非常に残念ポイントである。

ル・コルビュジエ 近代建築を広報した男 (朝日選書)

ル・コルビュジエ 近代建築を広報した男 (朝日選書)


『近代建築を広報した男』という魅力的な副題につられて。だけど、コルビジェの生涯をたどるという内容だったのでちょっとがっかり。広報マンとしてのコルビジェを描くなら、それを受け止めた大衆化した建築家についても触れて欲しかったです。
現在の建築業界における教義としては、コルビジェが近代建築を勃興させたことになっています。が、私は非常に個人的にではありますが、彼のことを『建築業界最強の電通マン』だと思っています。だって同時代の名もなき建築たちは、意外と所謂モダニズムしているのです。彼の最大の業績は、それに対して『近代建築5原則!』とか、必殺技みたいなキャッチコピーを付けて売り込んだことにあります。
コルビジェの偉大なところは、わかりやすいキャッチコピーを付けることで、学のない人間でもそれっぽい建築をコピーできるように大衆化したところにあると思うのです。サヴォア邸なんか、コピーしてくださいと言わんばかりの造形でしょ?

美しくなれる建築なれない建築―慣習の美学

美しくなれる建築なれない建築―慣習の美学


機関紙『structure』という、ウルトラマイナな雑誌に掲載されていたエッセイのまとめ。構造の先生のエッセイです。
『慣習の美学』と題されている通り、はじめはなんか変だけど、50年くらい見慣れると何故か権威を獲得し、名建築と言われるのか?についてつらつらと考察されています。私は昔から、倉敷の大原美術館はどう考えても風景から浮いていておかしいだろうと思っていたので、こういう考察が出てきて安心しました。
この手の感覚は、明文化されることはありませんが、誰しもが持っている内容だと思います。最近の例で行くと、東京タワー。単体で立ってた頃は、エッフェル塔のパクリとかボロクソ言われていたと思いますが、スカイツリーがあまりにダサかったので気が付いたら登録文化財になっていました。
東京都庁舎。これまた、バブルの塔とか丹下健三が日和やがったとか談合コンペとかボロクソ言われていましたが、近所にカスみたいなコクーンタワーができたことにより悪く言う人も減りました。
赤坂プリンスホテル。これまたバブルだのなんだのとあまり評判がよろしくなかったのですが、解体して跡地に建てる予定のビルがあまりにもメタボ君でださかったので、惜しむ声があります。

田口先生は、高速道路の橋脚がいたく気に入らない模様です。まぁ、曲げ系のラーメンでがっしりしている構造システムは普段から断面のほとんどがお昼寝しているので、緊張感に欠けることは確かですね。

私は、『かっこいいとはどういうことか?』については考察を持っておきたい口なので、こういったエッセイは非常に面白く読めました。『可愛いはセイギ!』ではなく『かっこいいはセイギ!』じゃないですかね。