地震と科学と防災

火山国の備え―研究と防災を近づけよ
朝日新聞社説より。

有識者会議の提言は、ないないづくしの現状を訴える。

 火山灰が大都市に与える影響が十分にわかっていない。実践的な避難計画は霧島山と桜島にしかない。特に注意が必要な47火山でさえ観測体制は必ずしも充実していない。火山防災に関する研究や予算をまとめる組織がない……、といった具合だ。

 火山の防災について、政府の取り組みはきわめて弱かった。

 1914年の桜島大正噴火から100年近く、比較的静穏な時期が続き、切実感がなかったことが根本原因だ。

 しかし、研究と防災に長期的に取り組む必要があるのは明らかだ。提言が求めるように、政府主導で進めるべきだ。

 現在、日本の火山研究者は大学に約40人。気象庁国土地理院、各省の下の研究機関を合わせても約80人で、活火山の総数にも足りない。まとめ役の気象庁は政府内で発言力が小さい。

 まず、地震の調査研究と防災をつなぐ地震調査研究推進本部のような仕組みをつくるべきだと提言は求めている。この組織は中央防災会議の意見にもとづき、防災上の要請を反映させた調査研究計画を決めて、役立っている。

東日本大震災の前は、新燃岳の噴火があったので中央防災会議がゴソゴソ動いていましたね。
それはともかく。今回のお話は火山活動について。確かにまっとうなことが書かれているような気がしますが、例えば噴火の日時が完全に分かったからと言って被害をなくすことができるわけではありません。これ、地震でも言える話なのですが、地震の発生日時と規模と地表面加速度が正確に分かったとしましょう。その日の経済活動はすべてストップして、自宅待機にしたとしても被害は出ます。なぜならば、建物の耐震性の劣るものがたくさん国内にはあるからです。自宅の耐震性を知らない人の方が多いのではないでしょうか。
東日本大震災で、新たな被害の様態云々が言われていますが、そもそも阪神大震災クラスの地震に耐えられない建物が多く残されており、行政では何とか頑張って手当をしていますが十分ではない事実をさっさと周知させるべきです。
また、10年後に大地震が起きる確率が80%と言われて、自分で金出して補強しますか?これは、科学の問題ではなく、政治や統治の問題になります。ここんとこの問題をごっちゃにしているのは、書いている記者も良くわかっていないんだろうなぁ。

耐震基準ない配管や壁の落下で死亡例
何べんも言いますが、これは構造の問題ではなくて建築の問題です。建築家は文系なので、重力が理解できない知能の持ち主が非常に多いです。いわゆるアトリエ事務所で一番の驚きは、建築家という人種のあまりに無責任な無能さでした。
川口先生が言っているのは、『不用意に重いもの吊るな』『吊ってもいいけど真面目に考えろ』『建築設計の人間はもっと想像力をたくましくしろ。あと重力理解しろ』の3つなのですが、これが全く理解されない現状をなんとかせんといかんなぁ。