工学部の流儀

工学部ヒラノ教授 (新潮文庫)

工学部ヒラノ教授 (新潮文庫)


文庫化を機に読みました。東工大金融工学系なので、私とは毛色の違う学問分野なんですが楽しく読めました。工学部の人数は多いものの、その内情については全く知られていないのでこういう本があってもいいです。小説で行くと、森博嗣が一番工学部の内情についてそれらしく書いていたように思います。
これ、工学部出身者としては楽しく読めたのですけど、文系の方がどういうように読んだかが気になります。いつものようにモラルに欠けるとか、税金の無駄とかの寝言が聞こえてきそうです。大学人なんていう奇人変人変態は、大学という檻に隔離しておくべきだというのが私の持論なんですけど、大学人を知らない人ほど大学を世の中に開放しようとします。やめとけって。
最後の方に書いてあった、日本の大学の工学部は二流の人間でも居場所があるというお話は良かったです。世間では、一流で争うのが好きなのですが、誰しもが一流になることはできません。一流の人間の業績を下で支えているのは二流の人間です。私も、大学の同級生とは頭の出来が良すぎて、大学院で他大学に逃げた口なのでよく分かります。ただ、二流の人間にも二流のプライドがあるのです。普通に頑張った程度では、二流にすらなれないことをきちんと高校くらいで教えてほしいものです。スタートラインにつくのも、相当な習練が必要です。
売り文句の大学の裏側云々はどうでもいいかな。普通の役所とかと同じような人事闘争です。まぁ、ありがちだよね。
博士課程はな~。マジで食えない。餓死します。研究室では、その年の中で優秀で且つ体力系の学生が冬頃に教授室に呼ばれて、山積みの奨学金パンフレットで進学を恫喝される事件が毎年起きてました。私も御呼ばれしましたが逃げました。5年連続くらいで逃げられてたかな?工学部だと、博士課程でちゃんとしたのがいないと、論文は絶対に書けません。助手以前に、いかに徹夜しても大丈夫な奴隷を飼育できるかに研究室の成否がかかっています。

止まらない、高校生の学力低下 5年後廃止?大学センター試験見直しの裏側
色々と面白い反応です。

16:名刺は切らしておりまして 2013/07/06(土) 19:25:24.11 id:Q9ZqKOmF
大学入試。センター試験
実態は【教科書クイズ王選手権】だろ
暗記と過去問訓練でマークシートを塗つぶす能力を競う
長時間机にしがみついたヤツが王者になるという

こういうのを読むと不思議になるのですが、机にしがみつくこともできない人が何らかの業績を残すことができるのでしょうか?勉強できる人はたくさん見てきましたが、皆さんかなりの読書家で机にかじりついて研究していました。

理工系離れは深刻ですね。これは家庭環境も大きいです。私は一族初の理系、一族初の国立大学、一族初の大学院という完全な突然変異だったので、まったく周囲に理解者がいませんでした。放置だったので良かったのですが、親が理工系でない限り結構難しいと思います。
あとは、社会の方にも大学教育を受け入れているとは到底言えません。会社に入った時、『学校での机上の理論は役に立たない』と言われたのですが、そりゃあんたが机上の空論すら組み立てることができないからだろ・・・・と思ったものです。工学部で言えば、今の詰め込み教育で大体の基礎はできるんじゃないかな。
建築学科と言えば、一昔前は人気学科だったのですが、最近は落ちたものです。建設投資に無関係で、建築家の頭が悪くなっただけだろうと思います。建築学科は限りなく文系なので、大学入試がピークでそのあと限りなく馬鹿になって卒業→アトリエでさらに馬鹿になって終了というお決まりのコースがダメですね。