読了めも

疾風ロンド (実業之日本社文庫)

疾風ロンド (実業之日本社文庫)

文庫を読んで雪山にスキーに行こうシリーズ第2弾。東野圭吾という名前がなければ全く売れなさそうな内容ながら、650円の価値はあります。移動時間にさらっと読めるサラリーマンの強い味方です。
日本短編SFアンソロジーの第5巻にて無事完結。掲載された短編はほとんど読んだことがありますが、はずれなしの逸品ばかりです。
小川一水氏の『白鳥熱の朝に』が名作。SFと言えばテクノロジで何らかの問題を解決するのが主眼に置かれることが多いのですが、本作は"間に合わなかった技術"を主題としています。ほかの掲載作品はデストピア的なものもあったのですが、科学が間に合わなかったにせよ登場人物に救いを与えるのは、さすがはネアカで楽観主義のSF作家です。
キャプテン・アメリカはなぜ死んだか (文春文庫)

キャプテン・アメリカはなぜ死んだか (文春文庫)

アメリカに住むということは見世物小屋の最前列に座るようなものだとは、言い得て妙。アメリカは人種のるつぼと学校で習いましたが、そのニュアンスは多様性があるとの意味だったように思います。実際のところの強いアメリカとは、外のものをるつぼでドロドロに溶かして一体化してしまうそのパワーというのが正しいところかと思います。最近アメリカさんの調子が悪いのは、ちゃんと国民にアメリカ語(あえて英語とは言うまい)をしゃべらせないで、中途半端に多様性を認めてしまっている弱腰にあるんじゃないのかなぁと邪推してます。
世界の建築うんちく92 (角川ソフィア文庫)

世界の建築うんちく92 (角川ソフィア文庫)

ものすごい軽い題名ですが、ちゃんとした研究者の執筆です。こんなとこで何してんですか、後藤センセ・・・・。
私は近代建築の保存運動や文化財指定には否定的なのですが、古いものがすぐさまなくなる世の中というのも忙しないものです。まぁ、それこそがメタボリズムであるんだけど。ってな考察はだれもしないよね。
つくば大学内部の血で血を洗う教授抗争のなれの果て。この人の本はなかなか面白いのですが、そろそろ教員だけではなく学生とともにやった研究などについても語ってほしいものです。
大学教員のポスト。これがまたゲットするのが大変なのです。極めて政治的な上に、スーパー年功序列なので、親分の元を脱出しないと死んでも教授になれません。どころか就職すらできません。
特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

これは翻訳物でなかなか面白い。積んであったのを読んで正解でした。デンマーク発の警察ミステリ。まだまだシリーズが浅いので十分追いつけます。
都合よくホイホイ証拠が見つかるとか、展開がご都合主義とかいろいろツッコミどころはありますが、これはそういうお話ではないということで。なかなかエモーショナルな警察小説として読むべきでしょう。
コンクリート崩壊 危機にどう備えるか (PHP新書)

コンクリート崩壊 危機にどう備えるか (PHP新書)

コンクリート構造物の寿命が来たら、普通に考えればリプレースすればいいと思うのです。別にお金なんて刷ればいいし、むしろ問題はどんどん作れなくなっていることです。著者は土木屋のようですが、これは建築屋も同じ。
コンクリートの耐久性をどのように評価するか?これがまたややこしい。本書によれば、コンクリート示方書の2012年版で少し踏み込んだ記載がなされているとのこと。
建築の分野では、耐久性なる思想はほとんどありません。明確にあるのが新築コンクリート配合に関するJASS5と耐震診断の経年指標でしょうか。経年指標もねぇ。1次診断で築30年以上だと問答無用で0.8というのはちょっと合っていないと思います。診断基準を作った当初はそれでよかったのでしょうが、今診断すると旧耐震がすべて引っかかってくるので、全く意味のない低減係数になっています。今月の建築技術に『耐震診断の有効期限は?』というエッセイも出ていたことですし、それなりにこの辺の分野がホットになってくれることを願います。
祝!ロケットガール復刊!
20年前、有人宇宙船をSF小説においてロケットで打ち出すというのは非常に荒唐無稽でした。なぜか?スペースシャトルにより何度も人間を宇宙に送り出すことこそが技術だからです。そして現在。何をトチ狂ったのかソユーズという超骨董品でアメリカ人が宇宙ステーションに出ています。スペースシャトル計画が断念した以上、安価なロケット技術こそがトレンドになっていますね。
また、宇宙飛行士の資質についても。書かれた当時は空軍などのテストパイロットと言ったトップガンの独壇場ではありましたが、実は宇宙飛行士は打ち上げ時も大気圏突入時も基本的にやることがないので、そこまでの運転技術は必要ではありません。むしろ宇宙の長期滞在に必要とされる資質は、閉鎖空間においてみんなと仲良くできるとか、その辺です。
色々な意味で先見の明のあった本作。今一度読み返されるべき名作です。
これまた愛蔵版商法。でも、川原泉の傑作選。買うほかはない。フロイト1/2とか何べん読んでも泣けます。川原泉は天才やで。
聖痕のクェイサー(17) (チャンピオンREDコミックス)

聖痕のクェイサー(17) (チャンピオンREDコミックス)

同時多面決戦にて、エロ描写は少な目。
1巻の一発ネタだと思ってましたが、アニメ化までしてここまで引っ張るとは思わなんだ。