読了めも

ヒラノ教授の線形計画法物語

ヒラノ教授の線形計画法物語

一応私の学部卒論は逐次線形計画法を用いた最少重量設計に関するものだったので、関連分野としてこの人の教科書で勉強した(ような気がする)。学部3年だかに線形計画法は講義であったのですが、その時には何の役に立つのかさっぱりだったけど、実際に自分で問題を作ってプログラミングして解かせると、単体法は強力なアルゴリズムでした。なんといっても演算の回数が少ないので、遺伝的アルゴリズムとかなんかよりも有用かと。ただし、離散的なモノ(JISの部材断面etc)を取り扱うにはかなりの味付けが必要なので、卒論の時は超強引な感度解析でお茶を濁しました・・・・。そこは整数計画法を勉強しろよと今ならツッコミを入れられるけど当時の能力では無理だったなぁ。
計算能力の向上とアルゴリズムの洗練によって、現代は最適化の時代であるとうたわれています。より少ない資源でより多くの利益を得るというのが正しい生産性の高め方であり、工学の使命と思っていますが、こと建築構造に関しては全く逆の方向に進んでいるよなぁとうんざり。
線形計画法に興味がある奇特な方にはおすすめ。最近は教えている大学が少ないとのことで、何で名古屋大では建築学科で教えてたんだろうか?確かMIT帰りの土木の先生がやっているコマだったんだけど、なんでそんなもんを履修してたのかさっぱり覚えていません。
環境リスク学―不安の海の羅針盤

環境リスク学―不安の海の羅針盤

中西氏の主張は非常に当たり前で、何でも定量化したうえでリスクとベネフィットを比較しましょう。リスクは『どこまで我慢できるか』を基準にしましょう。ゼロは無いです。それらの情報を総合したうえで、科学的に判断しましょう。
ざっくり言ってこんな感じなんだけど、とっても当たり前。普通です。
なんだけど、この手の"冷たい判断"ができない倫理観というものにことごとく公共政策がはばまれるのです。先日の"人は正しさではなく楽しさで動く"というどうしようもない大衆社会でリスクを定量的に扱って発信するというのがどれだけ難しいことか。
環境ホルモン騒動のばかばかしさについても触れられています。これは名著。
ゴミ映画を大量に見て、その中から宝物を探すのは評論家の使命とはいえご苦労様です。映画悪口芸と言われる芸風なんだけど、最近になるとほとんど劇場で見ていないというのが映画産業の斜陽っぷりが分かるなぁ。一昔前はボロクソに酷評するだけのネタがあったのに、近年はそれすら無い無味無臭映画の多いことよ。
文中にもあったけど、アカデミー賞よりもボロクソに叩かれたバカ映画の方が後世に残るというのはその通り。
2 (メディアワークス文庫)

2 (メディアワークス文庫)

メディアワークスで出ている分の総括編。出版順に読んだ方が良かったなぁ。
方程式の解を具現化した人物と世界の変容。どうしても真賀田四季とかぶるなぁ。