読了めも

戦争と建築

戦争と建築

戦争にまつわる建築のエッセイ集。旧陸軍や海軍の建築に触れられているかと思いきや、あくまで建築家サイドのお話。旧陸軍や海軍も、建築技師を抱えていたのに、彼らが何をやっていたかということについては断片的な情報すら見たことがありません。掩体壕とかって、それなりにちゃんと設計しないといけないはずなんだけど、この当たりの技術を調べている方はいらっしゃるのかしら。
『空からの視線とは、空からの攻撃を暗示するものに他ならない』って本当かしら。むしろ神からの視線や独裁者の視線と見るのが妥当ではないの?
今一つ消化不良でした。日本の近代建築史において、1940~1950は空白の10年と神代雄一郎氏は言っていますが、本当ですかね。確かに言われてみるとこの年代において、現代における名建築というものは生まれていません。が、10年間も建築関係者がプーをしていたとは思えないので、皆さん何かしらやっていたはずなのです。多分、1945年の敗戦を期に政治的転向の急旋回を自称文化人の多くが行ったため、なかったことになっている期間かなと邪推してますがw
もうすでにどんなシリーズが忘れてしまいましたが、なんとなく惰性で読み続けています。SMシリーズとか再読したいんだけどなぁ。

[武井咲]「すべてがFになる」で“リケジョ”に 綾野剛とダブル主演 | マイナビニュース
すべF映像化。

武井さんは莫大(ばくだい)な資産家の家に育った世間知らずだが、抜群の瞬発力と発想力を持ち、驚異的な計算能力を持つ西之園萌絵(にしのその・もえ)役で、綾野さんは少し変わり者のクールな2枚目でずぼらな性格だが、警察からも頼られるほどの天才的な分析力と考察力を持つ犀川創平(さいかわ・そうへい)役を演じる。

お、おぅ・・・・・。今のご時世で『リケジョ』なる単語で売り出せるセンスのなさがすごい。前にも書いたと思うけど、犀川は歴史屋なので限りなく文系に近い研究分野なんだよ。みんな知らないかもしれんけどさ。
弊社のスタッフに「女子大生で建築材料や計算に強くて、そこから修士・博士と行って大学教員になったヒロインが活躍する小説があって…」と説明したところ、「どこかで聞いたことがある設定だよな。知り合いを小説に出すのはいかんよな」とか寝言をおっしゃっていました。そうとも言いますが、時代設定がずれています。
15年前の2ちゃんでは、「萌えないヒロイン西之園萌絵」というスレだったんだけど時代は変わったものです。私は絶大なる紅子さんファンなので関係ないけど。

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)

火星の人 (ハヤカワ文庫SF)

今年の傑作SF間違いなし。最高です。
ストーリーはいたって簡単。火星に置いてけぼりをくらった主人公が、残された資材をどうにかこうにかやりくりして火星の大地を生き延びる。そして遅ればせながら生存に気が付いた地球側があの手この手を繰り出して救出作戦を練る。たったそれだけ。
とにかく、火星パートが抜群に面白いです。何かトラブルが発生する→対策を考える→実行する→問題点を洗い出す。ひたすらこの繰り返し。当然うまくいく時とうまくいかない時があります。最近順調に生き延びてるけど、この主人公はそろそろやらかすかなと思うと爆発します。でも生き延びます。常にユーモアを失わない主人公に和みます。
どんな困難があったとしても、本書が一貫して外れないのは「人間の命よりも大事なものがある」とは一言も触れないことです。まさにそこがフィクションではあるものの、前人未到の地へ人間を送り出して生還させるというのはそういうことかと思っています。
腰帯では『ゼロ・グラビティのリアル』と銘打ってあるけど、あの映画とは比べ物になりません。映画ではひたすら宇宙とは怖いものだで終わりですが、七転八倒しながらでも火星では生存できるわけですから。
とにかく傑作なのでオススメ。
帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」

帝国陸軍 見果てぬ「防共回廊」

戦前日本のユーラシア戦略という、ほとんど誰も触れてこなかった地域の防諜活動の記録。アフガニスタンにまで手を伸ばしていたとは知りませんでした。どんなマイナ地域に行ってもなぜか日本人の足跡があるというのは、現代の海外旅行譚で聞く話ですが、昔からそうだったみたいです。馬賊に化けたスパイとか何やねん。
これらの地域と手を結ぶというのは、アメリカや主要先進国しか知らない現代日本人には理解できない発想かもしれませんが、地政学的に見ると当たり前なんですよね。なんせ、お隣の国が超でかい中国とロシアです。アフガニスタンは、実は地図上では隣の隣の国になるのです。今揉めてるウクライナも隣の隣です。とにかく、全世界的に見て隣の国がわけのわからん超大国だと、本書で触れられたような外交ルートを持つというのはある意味当然のことになります。
著者の関岡氏は、『拒否できない日本』でヒットされた方です。何故か、早稲田の建築学科の石山研出身です。石山研はたまに変な人を輩出するよなと思っています。
新建築増刊 BIG←→COMPACT ABENOHARUKAS 2014年 09月号 [雑誌]

新建築増刊 BIG←→COMPACT ABENOHARUKAS 2014年 09月号 [雑誌]

もう竹中の設計部の人は分かっているだろうけど、P167の仕口の絵が間違っています。従来型とハルカスで採用したダイヤフラム形状の絵が逆ですね。重版はそんなにしないと思うから直せないと思うけど、大変惜しいしょぼいチョンボです。ゲラチェックしてないのがモロバレです。
(仮称)阿部野橋ターミナルビル タワー館 2011/03/04: 陽は西から昇る! 関西のプロジェクト探訪
品質のつくりこみ | 設計施工によるものづくり | あべのハルカス|竹中工務店
私は、どんな鉄骨でもCFTでもいいと思うし、地震波を何使おうが良いし、パイルドラフトとかもやればいいと思うのです。一番いかんのは、上のホテル階の柱が陸立ちなことです。他のことはどうでもいいから柱だけは上から下まで通してほしいです。メガトラスで受けているからどうにでもなるのは分かりますが、大手のちゃんとしている(と思われている)人にこれをやられると、馬鹿どもがみんなこれで良いと真似しだすのです。大手こそ、規範あるちゃんとした設計をしてもらわないと、私が困るからやめろ(我儘)。
P.11のお墓のバックに建物を入れるというのは、丹下健三のピースセンターの真似ですね。日建の設計した何とか学園も、雑誌掲載時はお墓越しに撮影していました。一つのファッションではありますね。

多くはうたかたに消え、いくつかは生きて地に降り 都市史の主語は何か | 青井哲人 ‹ Issue No.44 ‹ 『10+1』 DATABASE | テンプラスワン・データベース
全体的にカーテンウォールが安っぽく見えるので、あと300億くらいお金が欲しかったところ。タイトルにはBIG COMPACTと入っていますが、そのコンセプトは悪くないと思います。ウチの母も「ハルカスはおっき見えへん」と言ってましたので、それなりのデザインはできているのだと思います。ただ、せっかく日本一の超高層をやるんだから『大きく見える超高層』という発想でもよかったのかもしれません。そのあたりの形態操作は最初に決まってしまうので、いかんともしがたいんだけど、次の超高層をやることがあればそういうやり方もあるかなと。
ピルグリム〔1〕 名前のない男たち (ハヤカワ文庫 NV ヘ)

ピルグリム〔1〕 名前のない男たち (ハヤカワ文庫 NV ヘ)

せめて2巻が出てから読むべきでした。話が何も始まっていないので、次巻出るまで興味が続くかどうか・・・・。