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盛岡行ってきました

お仕事の打ち合わせ。
仕事はけてから、おっさん二人で岩手県営体育館までデートしてきました。
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超かっこいい。
設計は日大の小林美夫、構造が日大の小野新+斎藤公男
CiNii 論文 -  岩手県営体育館の吊り屋根構造-1-
CiNii 論文 -  2153 吊り屋根のP. S.導入について

この辺の論文の内容。
代々木の体育館と同じように吊り構造なんだけど、圧縮材のアーチから吊材を出して屋根面を形成しているので、あちらよりもかなり安定した形に見えます。普通は吊材からさらに吊ろうなんて思わないさ。代々木の体育館がずっと雨漏りに悩まされていたのは、その影響が大きかったんだろうなぁと思います。
1967年竣工なので、もうすぐ築50年になるんだけどコンクリートの状態が非常に良かったです。固めのスランプで水を絞って突き固めた密実なコンクリートでした。f:id:ninetailsfox63:20140909141109j:plain
各所ともに上手に設計してあって安心感があります。
やっぱり建築はかっこよくて、ちゃんと設計してあればそれで十分なのを確認しました。
盛岡駅から北に一駅なので、お近くまで行かれた方は是非に。

CiNii 図書 - 大スパン建築
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この1970年に出た本に設計内容が割とちゃんと掲載されています。ってか8冊しかないのね。構造の研究室には転がってそうだけど。神保町の投げ売り200円でゲットしてすいません。
昔の構造の本を読むと、重要な数値はバシバシ掲載されていて非常に参考になります。今の建築雑誌だとFEMコンタ図を載せているだけでつまらん。
形態を決めるにあたって面白いことが書いてありました。吊屋根を採用したのは、全館暖房を要求されることから空間の最少容積化を狙ってのことらしいです。これは実は代々木の体育館でも川口衛先生が同じようなことを当時書かれていました。確かに曲率を内側に持ってくることで体積が減りますわな。

余談1
本建物は、十勝沖地震に遭遇したものの大きな被害はなかったとの報告あり。報告が田治見研究室でした。

余談2
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はい。例によって木村俊彦氏の文章です。『いかにして構造物自体の自重を軽減するか』は、大スパン架構で顕著になる問題なんだけど、普通のRCラーメンでも同じことです。基本的に建物が倒壊するというのは地震の入力エネルギではなく、ポテンシャルエネルギの開放になるわけですから、軽いに越したことはありません。また、軽いということは少ない資源でできていることとほぼ同義なわけですから、生産性が高いのです。
私が超高層マンションの設計が嫌いなのは、あとで問題が多いとかそういうのもあるけど、今の設計は床が遮音性能確保のために無駄に分厚くて、そのくせ柱を絞ろうとしているからなのです。個人的に理想のRC架構は、床が薄くて小梁がしっかりしてて大梁がヘロヘロで柱がしっかりしているモノです。アトリエ系なんちゃらの設計は、これの真逆なのでストレスがたまる。

余談3
この本は坪井先生が音頭を取っているので、その総括でこれまた良いことが書いてあります。そのまま抜粋。

質問:十勝沖地震に対する感想は?
・剛構造に対する処置について学会規準に特に問題があるとは考えられない。
・構造計算の甘さに問題があり、建築構造一般の設計態度の厳しさの欠如に関係する。例えば、垂れ壁近傍の柱のせん断力などはもっと厳密に計算すべきである(※極短柱のことかと思われる)
地震入力の仮定としては0.5くらいをとり、これに対して強度を確保するような設計にすべきであろう。ただし入力は地盤との関連がつよいので、地区別よりももっと明細な、例えば団地別くらいのmapで震度を規定したらどうだろうか。(※地震入力ではなく建物の応答が0.5という意味なのだろうか)
・設計条件として柔らかいとか剛いとか"考える"というのではダメである。
・せん断力については柱の断面積を十分にとることが肝心であり、例えば3階建ての学校建築では1回柱が70*70cmは必要であり、65~50cmでは危険だったといってもデリケートだとは言えない(※聞こえましたか皆さん?)
・雪害については設計荷重をちびらないことが大切である(※耳が痛い・・・・)
・設計中に数式に熱中することは良くない。数式そのものは構造設計に直接には役立たない。
※は筆者ツッコミ

その他にも、有限要素法とマトリックス変位法のみでは全然足りず、差分法とRitz,Galerkin法、フーリエ解析テンソル解析などができないと設計者には足りないと警句が。今、実務の構造屋で上記の条件をそろえて設計してるのって100人いるのかな・・・・・。私は無理ですぽ。