帝冠様式で重要文化財

愛知県庁、頭のお城は郷土愛? 昔「ファシズムの権化」:朝日新聞デジタル
和洋「帝冠様式」を評価…名古屋市・愛知県庁舎 : ホームガイド : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
珍しく2棟並びで答申。

 帝冠様式は、洋風の建物を和風の屋根が上から抑える造形から、軍国主義ファシズムの反映と位置づけられることが多かった。

相変わらずファシズムとか言われていますが、井上章一氏により無関係だと実証的に反論されています。

絶版で値段上がっていますが、再販のチャンスですよ。戦時下の建築家をちゃんと描いているのでオススメです。
この本が出たときには、京都大学布野修司先生は「粗雑な歴史観だ」と切って捨てた模様ですが、今回の重要文化財指定に対してどんなコメントをしてくれるのでしょうか?普通に無視だと思うけどw
現在施工中の京都のフォーシーズンズホテルにせよ、オープン間もないリッツカールトン京都にしてもちゃんと勾配屋根が載ってます。これは琵琶湖ホテルから連綿と続く外国人向けの作法の一種なのでしょう。琵琶湖ホテル竣工時の1934年も確か『海外旅行者に泊まってもらおう!』がコンセプトでしたし。
リッツカールトンはケンプラッツでも取り上げられてたけど、つるっとした分物足りない感がありますね。屋根載せるからには、壁はテラコッタのギンギラギンじゃないと締まらないのかな・・・・。

 しかし、両庁舎の文化財調査に携わった京都工芸繊維大学の石田潤一郎教授(62)(建築史)は「軍国主義というよりは、名古屋城の意匠を取り入れ、郷土意識を表現する意味合いが強い」と指摘。「地域のシンボルとオフィスビルとしての合理主義が見事に調和した建物」と評価している。

と、正統派評価の石田先生。関西の近代建築の蒐集をひたすらされている方です。

読むところいっぱいあってつまみ読みなんだけど。
本書で触れられているモーラ式構造とやら。忘れ去られたシェル構造として紹介されているのが興味深い。現存しないみたいなんだけど、1939年竣工でナマコみたいな工場が写真掲載されています。この当時は、理論としては膜応力は日本でもありますし、1941年には京都大学で木造シェルの実験結果が報告されています。本書では、町工場で生まれたアイディアとして評価されていますが、時代背景を考えると案外理論的なバックグラウンドがあったのかもしれません。
この本、他にもいっぱい読むところがあるな。とても良い本。


香川、丹下建築の明暗(2)県庁舎はコスト比較を明示|日経BP社 ケンプラッツ
低層棟も高層棟も基礎免震の方向性とのこと。
前も書いたけど、低層棟が道路に近接しているので今の建物位置では基礎免震は非常に難しいと思われます。歩道の部分はすべて免震ピットにする感じになりそう。建物位置をバックさせようにも、今度は新しい高層棟との接続部を削ることになるので、結構な大工事です。
普通にこの手の建物を免震化してレベル2弾性限にもっていこうとするとベースシア0.15くらいでクリアランス600でしょうか?よりにもよってExp.J部はすべて人が乗ることを考え、かつバリアフリーのフラットレベルを達成しようとすると、結構難しい設計になりそうです。というか、基礎免震にするときの最大のネックはExp.Jの設計のハズなんだけど、誰もそれに触れんよね。国立西洋美術館みたいな全周落とし込みとかいう下品な設計にはなってほしくないものです。大林だっけ?頑張って。