免震化とは言うけれど

県庁東館外観守り耐震化 基礎免震工法を採用 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)
丹下健三設計の香川県庁舎は免震レトロフィットということで決まりだそうで。
前も触れましたが、こんなもんはどうにでもなるので良いけど、どう考えても東側の道路面に対してのクリアランスが確保できていないので、建物を動かすか歩道を敷地内にしてしまうかの2択です。前者は施工上の力技、後者は議会上の力技が必要になります。民主主義とかかけらもねぇな。
断面図の低層棟の基礎が、どう見ても歩道にはみ出してるんだけど、敷地境界変わったのかな?
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空間構造第6巻より配筋詳細図。
うぎゃぁ。柱主筋ぱんぱん。Fc250kgf/cm2で主筋がSSD49のD35ってかなりバランス悪い設計です。この当時は付着割裂破壊に対しての検討はなさそうですが、終局設計を目指したにしては残念ながら終局耐力を発揮しきれない配筋かと思われます。
梁もせいを絞って鉄筋ぱんぱこりん。うーむ。つり合い鉄筋比超えてそうなので、効率のよろしくない断面になってますね。コンクリートの高強度化自体、ここ20年くらいの話かと思われるので無理ない話ではあるものの、かなりバランスのよろしくない設計です。せめてFc300kgf/cm2くらいにしてほしかった。
当時はやりかけたリミットデザインに基づいてせん断力係数は0.3で見ているようです。それにしても柱が小さい。多分この架構計画では、1.1m×1.1mくらいが適正な柱サイズでしょう。耐震診断の結果がもちろんNGで、報告書ではリミットデザインは現行の耐震診断法では判断できない云々の言い訳があったようですが、2次とか3次診断ってリミットデザインそのものではなかったのけ??
塔屋の補強が必要とのことですが、設計時の水平震度が0.39だったそうなので、ベースシア0.1くらいまでもっていけば補強不要になるんじゃないかなぁ。今は概算でK=0.5とかで見てるから補強必要にしているんだろうけど。

元施工の大林が頑張ってくれるに違いないので、固有周期は4秒ちょっとでレベル2の変形が350mmくらい、ベースシアが0.1程度で設計してくれるに違いない。クリアランスは600でゴム径が850くらい?
コア耐力壁の足元でごっつい引き抜きが出るので、何も考えなければCLBの引き抜き対応タイプ、もしくは何らかの必殺技を出してくれるのでしょう。楽しみ。
ピロティの免震エプロンの設計は難しそうだね。頑張って。
直接基礎の免震レトロフィットは面倒だけど、国土地理院と同じような工法を使えば何とかなるか。一応実績もあることだし。

もう一生免震の設計することはないだろうけど。
横浜市港南区総合庁舎
http://202.224.46.173/data/erihp/06_hyoutei/J13008.pdf
有周期5秒越えで、ベースシア0.075ですか。そうですか。
リアランス700mmですか。大変ですね。
うーむ。最近の設計はこうなのか?

東京駅のクリアランス周りの設計がとほほ君だったので、大林組には頑張ってほしいものです。もう、大林がやるものと決めつけていますが、どうなんじゃろ。
東京駅新装 - みみずくのとまりぎ

井上章一 現代の建築家

井上章一 現代の建築家

げっと。
あとがきより。

建築史の研究者たちも「こっそり読んでいるようですよ」。そう山口氏から知らされたことも、印象に残っている。と、同時に、にが笑いもさせられた。私の文章は、ひそかに読まねばねばならないのかと、あらためてかみしめたしだいである。

エロ本かよ。
井上章一氏の建築関連の書籍はこれで終わりだろうけど、可能であれば『すけべ建築』についても存分に語ってほしいものである。