スケッチの功罪


お仕事柄お絵かきをすることが多いです。
で、そのときにフリーハンドスケッチで行くかちゃんとスケールを当たって書くか?
フリーハンドスケッチというのは、別名『巨匠スケッチ』と呼ばれて非常に好まれます。太い線でしゃしゃっと描いたスケッチには味があって、しかも絵になっているので合意もとりやすいです。そして、みんなできた気になって安心するという。
が、それが大きな罠になることが多かったです。
よくよくスケールを当たってみると、『納まってねーよ』がありがちです。フリーハンドスケッチの前提は、モノのプロポーションを正しく描けるかだと思いますが、これは非常に訓練をつまないとできないでしょう。それはもう、漫画家並みに。
特にCADの時代ですので、そこまで時間をかけて訓練することはできません。やっている人はいると思いますが。
私の場合は、方眼紙にちゃんとスケールを当てて、ちょっと時間をかけた上で断面を提案するスタイルにしています。とりあえず、3次元の絵が書けないのでいつも2次元です。そして字もうまくないので、コメントを入れられるように、なるべく大きなスケールで書くことにしています。
CADでちゃちゃっとやればいいのですが、CADの場合はスケールを決めるのと線の強弱をスケッチ用に調整するのが面倒なので手書きを選びますね〜。CADの場合は、紙の大きさをあまり考えないのですが、手書きの場合はA4基準でスケール決められますし。

最近は、カラーのPDFをそれなりの解像度で取れるようになったので便利ですね〜。やり取りが非常に楽です。FAXしかなかった時代は、微妙なニュアンスを伝えるのが難しかったでしょう。これは技術の進歩ですね。

ちなみに、鉄筋の納まりだけはCADで必ず書くようにしています。細径はどうにでもなるので興味ないですが、D38の太径とかになってくると、折り曲げ定着の曲げ加工が思った以上になだらかになるので、ちゃんと内接円の径を考えないと直交方向の鉄筋と干渉します。昔、これで失敗して以降、鉄筋だけはCAD化してますね。まぁ、そんな無茶な鉄筋を使うことはもうないと思うのですが備忘録的に。

オキナ A4プロジェクト 5ミリ方眼 PPA45S

オキナ A4プロジェクト 5ミリ方眼 PPA45S


紙の厚さ的にいつもこれだな。
計算書をまとめるように、もっとペラペラの薄いのを好む人もいますが、人によるよな〜。


冒頭で考えたものは見事にボツりましたとさ。
あんまり構造チックじゃないよね。
余白が計算メモだらけ。こういうのは整理されてなくてよくないな〜。絶対に次の日に見ても分からん。


私が巨匠スケッチを好まないのは、打ち合わせでそんなにあせって断面を決めることはないと思うからです。今はメールがありますし、図面をPDFにして送ることや、ちゃんとスケールを当たったスケッチをPDFにすることはすぐにできます。
打ち合わせでは、ある程度の方向性を決めて目線あわせをする程度で、細かい内容はちゃんと考えたほうがいいと思うからです。その時すぐに細かい取り合いがわからないと、設計が進まないということは断じてないと思っています。
むしろ、その場で全部決めないといけないというスタイルは、図面による意思疎通ツールが未整備だった昔のやり方で、私のスタイルのほうが今風ではないかと自分では思っています。あれこれ面倒な規定をすべて暗記しているわけではないので、落ち着いて参考図書を見ながら設計をしたいものです。
あ、5秒以内に歩掛を出せとか言う世界は別ね。


連休を前にして、熾烈なボールの投げ返しあいが勃発しています。宿題を持ったままGW(ガッデムウィーク)に突入すると、明けには『できました?』とかいう、たわけた電話がかかってくるのでなんとしても相手にボールある状態にしておきたいものです。
と、相手も思っているに違いないので、駆け引きに勝たないとな。