壁エレメント置換の話

まぁ、非常にどーでもいいことなんだけど。
耐震壁端部間柱下の杭
http://webkit.dti.ne.jp/bbs/thread.do?userid=arc-structure&bbsid=arcstruc&page=1&index=1573894
いっぱい返信があるんだけど、ほぼどうでもいい内容です。ごく一部で本質的なことをおっしゃっているのですが、その他多くが罵声に満ちているという。
間柱の下に杭を打つかどうかはこの話の本質ではなく、壁エレメント置換した際の応力の評価に尽きると思います。
この手の応力解析をしようとした場合に、長期応力・短期応力それぞれどのように解析するか悩みます。私はこの程度の規模で壁方向はルート1で行けるので、短期についてはどうでもいいと思っています。問題が長期応力。
ざくっと考えられる長期応力解析のやり方は下記の4つ。
①壁はモデル化しないで重量を評価
②壁はエレメント置換し、柱・壁ともに軸変形考慮しない(軸断面積100倍)
③壁はエレメント置換し、柱・壁ともに軸変形考慮する
④壁はエレメント置換し、柱軸変形は考慮しない 壁は考慮する 間柱も考慮する
それぞれ応力図と考察

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普通に柱も梁も長期で設計できませんな。論外。

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おそらく一貫計算プログラムのデフォルト設定。ありがちなのが1階の間柱に強烈な引張が入っています。上についているべったりした壁がほぼ剛で、境界梁の基礎梁の剛性はそれに比べて小さいのでつられるような形になってしまいます。長期応力解析は、いっせーのーで!で載荷するので壁エレメント置換を使う限りこういう応力になりますが、では妥当な設計用応力状態かというと・・・・?
ただ、デフォルト設定なのでよく見ますよね。

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壁にも軸力をしょわせているので、間柱の応力は②に比べれば緩和されました。実際の応力は壁板を連続体と仮定して、斜め方向に支点に向かって軸力が集まっていくのでしょうが、残念ながら壁エレメント置換はそういう器用な要素ではないんですね。
今の事務所で申請出せと言われたらこれで行きます。
が、壁が長期軸力をかなりしょっている分柱の軸力が抜けているので、梁間方向の曲げの設計がちょっとしんどそうかなと一抹の不安がw
1階の境界梁が長期で結構しんどいことになるので、特にせん断がコンクリート断面でいけてるかが懸念事項。
あと、耐力壁の短期の設計って長期を考慮しないので長期のτは一応見ておいた方がいいよねぇ。

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これで良い応力になる!と思っていたけどだめでしたw

おおざっぱに言って③と④の間の応力状態かなと思います。断面設計をせこくするなら④、申請でめんどくさそうだから③かなぁ。ぶっちゃけ趣味の領域と思います。安全性に何の問題もありません。

上記掲示板では、構造設計の自称プロの集まりらしいですが、まともな応力図を提示して批判する人はいませんし、罵倒するのみです。基本的に構造設計者は人間的にやなやつが多くてプライドの高い、人の話を聞かないなどの欠陥人間が多いのにうんざりします。

この手のお話は、ささっとモデル作っていろいろ試してみればいいし、今ではいろいろツールがあるんだけどなぁ。困ったことに教科書がない。こんなどこにでもあるようなラーメン架構の壁を考慮した応力解析手法について決定版がないのですよ。
私は構造設計の師匠にビシバシやられていろいろと考えるようになりましたが、残念ながらそんな幸福な出会いはほとんどの人にはありません。
ちなみに、似たような物件で審査機関に行っていろいろスタディを見せたところ『軸剛性で調整するなんてけしからん!!ねつ造だ!設計者の良心に欠ける!』とK建設のOBに罵倒されましたwまじこの業界クソですわwwwwwお前、どうやって設計しとんねん。

解析の話をするとき、自称解析通のバカほど『実際の応力が云々』と講釈を垂れます。そもそも応力は計測できなくて、実際に計測できるのは変形なんだけど・・・・。と小声で抗議しても罵倒されます。
以前、長期にパンパンに利かせている壁でτが長期超えている上に、ps1.2%という計算書を見て指摘したら『うるさい黙れ』とこれまた罵倒されたことを思い出しました。最高学府ご出身の方でしたが、なんだったんだろう・・・・。

ルート1で寝ててもどんなポカしても大丈夫そうな架構に対して、延々罵声を浴びせるこの業界の縮図を久々に体感しました。そりゃ、頭の出来のいい奴はこんな業界からは逃げるでしょw