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それはいったい何の略なのか?

せん断力はなぜ「Q」なのか
構造設計をやっていると、色々なものをアルファベットで表します。当然、各種規準書では最初の方にアルファベットが何を表しているのかを一覧で示しております。
先日気が付いたこと。
断面2次モーメントはmoment of inertia of areaなのでIで表します。これは分かる。さて断面2次半径は現代ではiと書かれることが一般的です。radius of gyrationなので、筋から言うとrに何らかの添え字が妥当でしょう。
おそらく多くの構造技術者が断面2次半径は断面2次モーメントの親戚みたいなものだから、大文字・小文字の関係なんだろうで済ませていると思います。私もそうでした。
さて、手元に1950年発刊の建築慣用便覧(小野薫・清水一・共編)があります。これによると

断面2次モーメント:J又は(I),Iは漸次廃止する
断面2次半径:i又は(r),rは漸次廃止する

と一覧表に示されています。
挫屈理論,チモシェンコ著,1953
建築構造學,内藤多仲著,1952初版,1971,10版
あたりでは断面2次半径はrxとなっていたので、rはある時期までは市民権を得ていたようです。
それにしても、当時の通常の技術者が持っていたであろう慣用便覧なのに、Iは生き延びてrは死に絶えたのは何故なんでしょうか。
そもそも断面2次モーメントをJにしようというのは、慣性モーメントっぽい書き方なんだけど、何かしら解析力学屋の人が統合しようとした形跡なのか。そして断面2次半径のiとはいったいどこから出てきたのか。
上記コラムにおいて、

というのも、こういう類のことは、よほどのものでない限り何かの文献に載っているわけではなく、「本当はどうなのか」を確かめようがないものなのです。とくに、昔から慣用的に広く使われているものほどその出所が分からない、という傾向があるようです。その上、「誰かの気まぐれ・思いつきで命名され、いつのまにか定着した」ということだってないとは言えず、そうなったら「何の略なのか」を考えること自体が無意味になるでしょう。

という諦念の通り。
私が常々許し難いと感じているベースシア0.2の有効数字1桁というやる気のなさ。これも、1/10の2倍という意味合いしかないという脱力感。