読了めも

ザハ・ハディッドは語る (The Conversation Series)

ザハ・ハディッドは語る (The Conversation Series)

何かと話題の暗黒卿ザハさんのインタビュー集。通り一遍のインタビューなので特に気になる点もないですが、まとまった日本語の書籍が少ないので悪くない本。
コンピュータの活用に関しては、特に本人は意識していない模様。彼女の場合は、演算可能なコンピュータによって想像力を縛ることで実作につながっているのではないかな。
脇!脇!
これで中学生とか、けしからんすぎでしょう。
トンデモニセ天皇の世界

トンデモニセ天皇の世界

大昔からニセ天皇とか、ニセ宮様というのが一大ジャンルだった模様です。近代で有名なのが熊沢天皇か。京極夏彦のなんかで取り上げられてたよね。現代人には忘れられて久しい。
オカルト神道業界もいろいろと変な人がいるということで。明治天皇の玄孫の竹田某は、この系列の人だと思ってたけどちゃんとした人だったのね。まぁ、頭の出来からすると偽物だと思われても仕方がないw
ヒトラー・マネー

ヒトラー・マネー

ポンド・ドルに目を付けた偽札流通作戦「ベルンハルト作戦」の内幕。
ベルンハルト作戦 - Wikipedia
戦争時に敵国の偽札を作るというのは、どの指導者も考えることで、ケインズまでもが検討に参加しています。
偽札作戦については、第2次世界大戦後のイギリス経済の凋落をもって効果があったとの見方を本書はしていますが、私は懐疑的。金本位制の場合だと、金との交換証書を偽造するものになるので意味がありますが、当時は金本位制を離脱しているので中央銀行の金融政策で対応できそうな気がするのです。また、札束で貿易のやり取りをするわけではなく、手形とかがメインであり、キャッシュの出番はそこまで多くないはずなのです。現金一括払いなんて、スパイの手当や横流し武器のやり取りなどに限定されるのでは?
今まではヴァイキングのローカルな陣取り合戦でしたが、レイフの描いた外側の世界の地図により一気に世界観が広がりました。歴史モノからSFへの転換です。外への希求はSFのメインテーマでもある。この物語の拡張感は、『クレイモア』の第2部と似たような感じ。
ビブリオマニア2名の対談。割とエンタメ文芸寄りの話が多いので身近に感じます。赤川次郎を高く評価しているのはいいと思います。多作家で内容がないと言われることが多いですが、初期作はハードな内容も多いし、登場人物が1歳ずつ年を取る爽香シリーズは誰にも真似できない前人未到の叙事詩です。
累計発行部数3億冊とか何やねん。あれだけ取り上げられているワンピースと同レベルです。これはすごい数だよな。国民的作家と言われてもおかしくはないのに、あまりに言及数が少なすぎる。
この人たちに比べれば、私などは本を読んでいないに等しいと毎度のことながら思います。にわかの代表格である長門有希の100冊のうち30冊くらいしか読んでないもんねぇ。
長門有希の100冊とは (ナガトユキノヒャクサツとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
科学と神秘のあいだ(双書Zero)

科学と神秘のあいだ(双書Zero)

地震原発津波・噴火・土石流・積雪などなど、ことあるごとに出てくるニセ科学の皆様。本書にもあるように、最大の問題は『善意』なのです。マスコミやらで怪しげな言論がはびこるのに眉をひそめる向きもありますが、あれは彼らが馬鹿なだけではなく善意があるから広めようとしているのです。いつぞやかも書きましたが、反知性主義とやらに一番接近しているのは、この手のモラリストであり、モラルなき科学者を排除しようとする現代の絶望。
ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)

ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)

米原氏の本を読めばわかるように、彼女には知性も教養もあります。その彼女ですら、癌の怪しげな民間療法に動いてしまうのがこの問題の根の深さなんだろうなぁ。
新聞や週刊誌に建築構造のトンチンカンな内容が載るたびに血圧の上がる私としては、ニセ建築構造工学について適切な批判を学会ベースで行うべきだと思っています。
世界を戦争に導くグローバリズム (集英社新書)

世界を戦争に導くグローバリズム (集英社新書)

本来の題名は『世界を戦争に導くリベラリズム』でしょう。題名を見るといつものようにグローバリズム批判ですが、内容はリベラリズム(理想主義)批判になります。
これは前にもふれたように、観念主義vs現実主義の世の中に対する批評です。私としては頷くばかり。思想のバックグラウンドはともかくとして、私の最も嫌うリベラリズムは『物事を善悪』で考えることです。これは一番不合理であり、私の左翼的信条である『人間の知性と人智をもって事を成す』と対極にある思想になるのです。
私としては、頭の良い学歴の高い方々がもう少し物の善悪から離れて、損得や筋の良しあしで考えて欲しいものですが、そういう教育を全くしていないので無理でしょうねぇ。
概ね映画のPVから思っていた内容と同じでした。もうちょい現実と仮想空間の侵食とかひねりがあるかと思ってましたが、思っていた以上にストレート。映画封切り前に出版したのは失敗じゃないかなぁ。重症の釘宮病患者以外は見に行かないと思われ。
あと、いかにも狙い打ちそうな三木眞一郎はやり過ぎかと思われ。
七つの大罪(11) (講談社コミックス)

七つの大罪(11) (講談社コミックス)

実は10巻まで来て物語の全貌が全く明らかになっていないという。
SF界隈が妙に賑やかで結構なことです。かなりディープなのが並んでいるので、「最近のSFってどうよ?」と思う方にはおすすめ。
宮部みゆきの短編が一番良かった。この人のSF短編は間口も広いし、老人と子供という得意ジャンルでもあるし、定年後の爺さんが何すんねんという現代的テーマまでカバーしています。いくつか短編があるけど、まとめて出版して欲しいな。
表題作の長谷敏司もそれなりに。
野崎まどのチンギス・ハンが宇宙の草原を高速で駆けるお話。ハードSFの分野になるんだろうけど、チンギス・ハンが馬に乗って宇宙を書けている時点で草生える。アイディア勝ちだね。
酉島伝法はねぇ。SF読みやプロの作家ほど高評価になるのは非常によく分かります。絶対に自分では構築できない世界観なのです。それは分かるんだけど、通常小説と表現プロトコルが違いすぎるw彼の作品をプロの作家が翻訳して売るというジャンルでも成立するような気がします。
土漠の花

土漠の花

ソマリアで現地住民に包囲されて殲滅されそうになるというのは、日本版ブラックホーク・ダウンか。バイオ5を思いながら読むと吉。
自衛隊員の回想シーンやソマリア士族の説明などで、容易に参考図書が分かっちゃって、それらのパッチワークではあるんだけど、さすがに読ませる。