こみん☆てるんのコア戦術

麻生財務相:「高橋是清を模倣」、デフレ対策−数年以内に経済復活へ
高橋是清の積極財政が評価されるというのが、メディアに出るようになって一安心という風に読めます。
確かに良いことです。
だがしかし。

アベノミクスは高橋是清を模倣

「多額の公債が発行されたにもかかわらず、いまだ弊害が表れずかえって金利の低下や景気回復に資せるところが少ないので、世間の一部にはどしどし公債を発行すべしと論じるもがあるが、これは欧州大戦後の各国の高価なる経験を無視するものである」

これ、発表された年月を明らかにしていないからずるいよなぁ。確かに、高橋是清は新聞上でこのような主張を行っています。
神戸新聞 1935.7.27(昭和10)

然るに昭和七年度以来毎年巨額の公債の発行にも拘らず今日までのところ幸いにその運用は理想的に行われ未だ公債に伴う実害を発生して居らぬ、却って金利の低下や景気回復に資せるところが少くない。世間の一部にはこの効果に着目し公債は何程発行しても差支えなきものであるかの如く漠然たる楽観説を抱いているものもあり又今日政府の執っている公債政策の如きは未だ不充分であってどしどし公債を増発して国家の経費を大いに膨脹せしむべしと説くものもあるようである。然し乍ら公債の過剰発行に依る財政経済の破綻に就てはヨーロッパ大戦後多数の国にその実例を存するところであって公債は何程発行しても差支えなしと論ずるが如きはこの最近の各国の高価なる経験を無視する議論である。

ちなみに、1935年はデフレを脱却してインフレ局面に突入したため、金融の引き締めを行おうとした年です。前々年、前年の経済成長率が11.4%、8.7%と非常に順調に推移したことから、デフレ対策としては出口戦略に移る必要があり、引き締めを宣言しているのです。ここで引き締めなかったら、またもや大正バブル再びになっていました。
経済運営としては、非常に当たり前のことです。
で、前掲の記事。今は出口ですか?政策としては入り口にも立っていません。そんな時から出口戦略を声高に叫ぶのは、馬鹿かこみん☆てるんです。滅ぼしましょう。
っても、普通の人は暇ではないのでこんなにも原典に当たることはできません。これ、明らかに今の経済政策をつぶしたいだけですよね。
高橋是清の偉業を用いてミスリードしようという悪質な記事です。


しかも、去年中日新聞で連載されていた『天佑なり』は高橋是清の生涯を描いています。筆者が・・・・・幸田真音氏です。ここで、いやーな予感がしますよねw。過去15年間くらいの筋金入りの国債破綻論者で、財界と財務省の提灯持ちとして有名な方です。この人が高橋是清を題材に小説を書くって、たいへん嫌な予感がします。中身を読んでいないので何とも評価しがたいことですが、もう少し時間がたって高橋是清の名が人口に膾炙したときに、財務省史観の是清像を出版したら、確実に現在の経済政策は民主主義によってつぶされるでしょう。かなり意外かもしれませんが、財務省(大蔵省)史観では、彼は『緊縮財政により国家財政を立て直した』ことになっています。んなバカなと思いますが。
幸田真音氏のあとがきが、これまたすごい。

 「小説「天佑なり」連載を終えて」と題して2000字分の囲い記事となっている。 以下、文章を引用さて頂きます。

 一年二ヶ月の連載を終え、今はなんだか体の真ん中に大きな穴が空いてしまったような感覚に襲われている。・・・中略・・・なにをしていても、片時も離れずわたしのなかにあったそのとてつもなく大きな存在は、連載終了を経て、やがてはわたしから抜け出ていかれるのかと思うと、無性に寂しい。・・・中略・・・十年ほど前になるだろうか。・・・財政制度等審議会の委員だったころ、ふと耳にした官僚の言葉がきっかけだった。・・・
 「日本国債を海外で売ろうと頑張るなんて、明治時代の高橋是清以来のことなんですよ」
 担当者のそんな言葉は、私の記憶に強烈に刻まれた。財政問題をライフワークとしているのなら、いつか是清について・・・。・・・中略・・・。
 是清の生涯を軸に、明治、大正、昭和初期と時代を追って書いてきたが、繰り返される政権交代、関東大震災、そして世界的な大恐慌という背景のなかで、当時この国が向き合わされてきた財政問題は、いままさに日本が直面している現代のそれとあまりに類似していることに気づかされ愕然とした。膨大な資料のなかに是清自身の珠玉の言葉をいくつも見つけ、作中で語らせてきたが、もしや是清自身が現代の日本人に語りかけているのではないかという錯覚に、何度も囚われた。・・・後略・・・。

これが反日とか国賊と言わずして、なんというのか。
国債を所有しているのが外国人が多い場合、非常に不安定になるというのは、あのガチガチの観念論者のIMFも認めるところというのに。
借金漬けでも日米は大丈夫−ギリシャが駄目な理由はこれ
連載の小説を読んでいないので何とも言い難いですが、かなり危険なにおいがプンプンします。
この状況になることを読んでいて、こんな文章を書かせた工作員がいたとしたら天才です。脱帽です。


国債の問題で言うと、日本の純債務状況は先進国の中で普通の部類で当面問題がないことを理解しているのは、国民の5%もいないんだろうなぁと思うと、今の経済政策も民主主義でつぶされる予感がします。ここまで来たら、悪質な自爆テロですよ。