読了めも

土木コレクションHANDS+EYES

土木コレクションHANDS+EYES


土木コレクション HANDS+EYES
全国巡回の土木エンジニアリング図面の図録。何が素晴らしいって、内容の濃さもさることながらその価格設定。650円です。普通に出版したら3000円でしょう。この価格設定に、土木業界の皆さんの並々ならぬ熱意を感じます。学会の総力を挙げての宣伝ご苦労様です!
建築学会もトーキョー建築コレクションとかクソみたいなオナニー企画じゃなくて、こういうのをやってください。東京駅が素人カメラマンで満杯になったのを見たでしょう??
一番見たいのは、稚内港北防波堤ドームです。400mも続くギリシャ神殿風列柱は是非見に行きたいものです。なんでこんなデザインにしたかな・・・・。
北防波堤ドーム - Wikipedia
コルトM1851残月

コルトM1851残月

日本のエンタメ作家は時代物も書かないといけないという宿業でもあるのか、大変なものです。もっとやれ。『天地明察』のヒットでもわかるように、需要はあるのです。
阿・吽 1 (ビッグコミックススペシャル)

阿・吽 1 (ビッグコミックススペシャル)

最澄空海。これまたすごい目の付け所です。期待。
お代官さま拷問にて・・・・・。なかなかエグイものである。
靖国神社の下りで、中国・日本における死生観の違いは興味深かった。日本の場合は悪人でも適当にお祀りしますが、中国では末代まで罵倒するとのこと。確かに靖国神社に敏感なのは分かります。
私は中国については、中国の理屈でいろいろと仕掛けているので嫌悪感はあまりないのです。中華思想しようが勝手で、あくまでこっち来ないでねという程度。中国共産党も賢いもので、反日とはいうものの彼らのロジックは『過去の日本軍許すまじ。それを引き継ぐ現政府もけしからん』であり、現代日本人と天皇陛下については触れません。ここが韓国との大きな違いです。
最近中国の反日ドラマが向こうの人にも不評みたいだけど、突き抜け方が足りないよねぇ。コスモクリーナを携えて帰還する宇宙戦艦ヤマトを迎撃するみたいな筋書きでハチャメチャして欲しいと強く思います。
悲喜劇・一九三〇年代の建築と文化 (踏分道としての戦後)

悲喜劇・一九三〇年代の建築と文化 (踏分道としての戦後)

1970年代に1930年代を建築メインで振り返った本。今も連綿と続く『建築家の戦争責任』とやらについて語られています。私からすればバカバカしい限りなんだけど、建築家サークルの中では真面目に扱うジャンルらしいです。
五旗会、『現代建築愚作論』、 スターリニズムからの脱却 一九五〇年代における建築運動とその思想性 | 磯崎新+日埜直彦 聞き手 ‹ Issue No.44 ‹ 『10+1』 DATABASE | テンプラスワン・データベース

編集部──吉本隆明さんが詩人の戦争責任を言って登場し、花田清輝と論争したりしていました。それはちょうど五期会が結成された頃だと思います。建築家の戦争責任ということは話題にならなかったのでしょうか。
磯崎──僕より少し上の宮内、平良、田辺員人の世代は戦争責任論を言っていました。それは丹下さんに対する感情的な批判でした。丹下さんは戦争中の話は一切口を閉ざして何も言わず、別の世界で起こったことだという姿勢でした。唯一、戦争中に自分はこのようなことをやった、ときちんと言ったのは西山さんくらいでしょう。西山さんの「食寝分離論」は大阪の長屋を研究して、食寝分離できないと日本は近代化できないというものです。西山さんは政治的な立場からは反モダニストに見えるけれど、方法は純粋モダニストでした。

帝冠様式をめぐる議論と同じで、サークルの親玉を決めるための階級闘争にすぎないのです。大東亜建設記念営造計画コンペだけをもって丹下健三を戦争協力者として批判しているようなのですが、無理があり過ぎます。軍部に協力していた人なんてたくさんいたし、坪井善勝先生に至っては、陸軍と共同で木製飛行機の翼の開発を行っています。
建築家で絶対に戦争協力していないと断言できるのは、今泉善一くらいじゃないでしょうか。日本初の銀行強盗に関与して戦争中は牢屋の中だった昭和の怪人です。
この本を読んで何よりも絶望するのは、ナショナリズムがどうちゃらとか今と全く同じしょーもない浮ついた議論をしているところなのです。30年前と何も変わってない。

リスクにあなたは騙される (数理を愉しむ)

リスクにあなたは騙される (数理を愉しむ)

帯の推薦文が池田信夫だから買わない人が多数いそうです。とても良い本なので、ぜひに。
原発やら地震やら噴火やらで、リスクという単語だけが躍る現代。事実と心理が大きく離れることは、日本特有の問題ではなく、どの国でも同じようにパニックを呼びます。本書では理性を"頭"、感情を"腹"でとらえて、この二つには時間差があることを示しています。エンジニアの教訓としてよく上げられる『できますという前に三つ数えろ』というやつです。
様々なリスクを考える時に、Yes,Noの二元論に陥りがちですが、理性ある大人は保留という道を選べばよいのです。
大量の事例を引用しているため、読みにくい点もありますが大変良い本。
皇なつきさんのイラストが無いのが最大の手落ちです。それだけで買う価値が半減します。何とか頼み込んで紅子さんを書いてもらってほしかった。
私の専門が建築構造で、N大出身で、授業も受けていて、彼の研究成果を仕事に使っていて(高流動コンクリートのLフロー試験)となると、世の方々とは違った受け止め方なんだろうと思います。文系の方々は、専門用語の端々に何か私には見えない深遠なものを見ようとしているようです。
池田純一氏の評論から抜粋すると

構造力学における日本特有の課題というと免震構造、すなわち地震への対処である。そこでは地震という波動の解析が重要な研究対象となる。森作品では、物質に変わって波動が主題になることが多いが、もしかしたらそれも彼の研究対象の中心に波動があったからかもしれない。

私に言わせれば、噴飯モノの文章である。どっかのポモちっくな人を思い出します。ばーかばーかとしか思えないのですが、一部の文系の方々には深淵にみえるのですかね。。。。あと、有限要素法を用いた数値シミュレーションも頓珍漢な内容でした。清涼院流水の対談は良かった。相変わらずこの人は天才だよな。私には理解できんけど。
比較的、建築学科の学者としてフォーカスする内容が多かったのに、『アンチ・ハウス』が取り上げられてないのが不満。あれ、建築の実務をやった後に読むと抱腹絶倒の傑作です。森センセ、大人げなさすぎるよ。めんどくさすぎる施主だよ。そして阿竹先生もぶっ飛んでるよ。何言ってるかわかんねーよ。

アンチ・ハウス

アンチ・ハウス

森博嗣は、ウチの母も最初から読んでました。日記も愛読していたのですが、我が家における森博嗣の評価は『カール・ヘルムのパンツ!高い!』である。