逓信建築展とか


企画展「逓信~郵政建築展―吉田鉄郎の作品に見るその源流と発展―」|企画展|イベントスケジュール|郵政博物館 Postal Museum Japan
ソラマチにて。大量の人が押上にいたので混んでたらやだなぁと思ってたけど、案の定会場まで行ったのは私一人でした。
逓信建築の吉田鉄郎の図面など展示。所蔵がNTTファシリティーズのものがいくつかありましたが、、彼らももともと逓信省か。
城東郵便局があるかなと思ったけど、展示はありませんでした。逓信建築の本でも写真1枚で触れられているだけなので出来が良くなかったのかな?
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国際建築1955年2月号より。6mスパンのシャーレン構造です。同年の新建築においては、出来の良かった建物アンケートで複数名が触れているため、建築デザイン的に出来が良いと当時思われていたものです。
日本では地震があるからキャンデラのような薄いシェルはできないとか、大学でも会社でも習った気がしますが、1950年代に大量にRCシェルを作っています。東京体育館(もうないけど)とかスパン30mで中央の厚みが80mmだったそうなので、大変過激な断面設計ですよね。
巴鉄鋼の記事を読んでいると、当時は離散的なラチスシェルを解けなかったことから連続体RCシェルがメインだったようです。今だと仮設が高いしマトリクス法で解けるので、全く正反対の意見になるんだろうけど。

逓信建築の戦後復興期(S20~S30)の建物を見ていると、昔の八王子駅に非常にスタイルが似ているのです。
aki's STOCKTAKING: 八王子駅 /1952年
超モダンな駅舎に大八車が待っているとか、冗談みたいな光景です。これの設計者が知りたいんだけど、どなたかご存じないですかね?

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恒例の神田古本まつり
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うりゃー。
早川の「悪魔のハンマー」は安値でゲット。意外に探し物が見つかるものです。


この写真の上の段に古い新建築があるじゃろ。これほとんど私が回収したで。他は都市住宅が投げ売りだけど、誰も買ってねぇ。あとは、大阪万博建築作品集が箱入りで1000円投げ売りで今日もありました。あれ、5000円くらいが取引相場だよ。私は別のところで200円で回収したけど。

おまけ
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清澄白河駅前のいかした看板。何度見ても笑ってしまうw

アクセス解析を見てると、大体1日70~100なんだけど一体誰が見てるんだろう…。書いている方としては、おそらく内容を理解できて共感できるのは日本で5人くらいだろうと思っているのですが、思いのほか多いのです。
IASS2016のHPがあったので、宣伝しておこう。
IASS 2016
何がすごいって、組織委員会のほぼ全員を知っていることですわwww業界が狭いのか何なのか。

関東大震災の記憶を歩く

東日本大震災の追悼施設整備の話もあるので、関東大震災の関連する施設の散歩など。
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伊藤忠太設計の東京都慰霊堂。耐震補強工事中。
横綱公園は、関東大震災においてもっとも火災による死者の多かった(4万人)陸軍被服工廠跡地にあります。火災旋風というのは、人類有史以来非常に稀な事象ながら、ひとたび人口密集域で起きると大きな被害を出すと言われています。
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フープちゃんと巻いてるし、太い鉄筋入ってるしで。
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復興記念館。誰が設計かよく分かっていない建物。昭和初期です。
ぱっと見Is0.6を上回りますが、関東大震災の復興を記念しての建物ならばどっかにIs値を掲示して欲しいものです。東京都の持ち物だから耐震診断してるんだろうけど……。
思いのほか、見学されている方が多かったです。家族連れで来て、お母さんが子供に解説してるとか。いいぞ。
記念堂のコンペ案がいくつか張り出されていましたが、優秀賞的なものはみんな結構モダンなスタイルでした。

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清澄白河にある浄心寺の蔵魄塔。日名子実三の作品であると言われています。日名子実三は八紘一宇の塔や、サッカー日本代表のエンブレムデザインで知られていますね。
蔵魄塔(震災犠牲者合祀塔)
蔵魄塔(ぞうはくとう) | 収蔵庫・壱號館
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浄心寺の設計・施工はともに松井建設で昭和31年竣工。インド式で伊東式の鉄筋コンクリート寺院になります。横山秀哉氏のリストに入っていました。知らないだけでRCの寺社仏閣って意外に多いんだよね。

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清澄白河駅前の旧・東京市営店舗向住宅。これも関東大震災復興シリーズ。鉄筋コンクリートによる長屋が結構残っています。いくつかの建物はリフォームしているのですが、外壁をよく見ると同じ意匠が残っていたりするので、独特な街並みを形成しています。
旧・東京市営店舗向住宅 | 収蔵庫・壱號館
この辺の建物は、敷地境界って何さ?状態だから法律的にアンタッチャブルだろうなぁ。

と、関東大震災の記憶をたどっての散歩。
東日本大震災の追悼施設などは不要である論が世間の大半だと思うけど、ちゃんとした形あるハコモノを作っておかないと記憶なんてすぐになくなります。

予定調和


新国立の施工者決定、屋根は竹中 スタンドは大成|日経BP社 ケンプラッツ
おやまぁ。
いつぞやかの私の言った通りになりましたね。業界の暗号解読能力もそんなに落ちてないみたいっす。
私が言いたいのは、m9(^Д^)プギャー竹中ざまぁ。果てしなく広がる赤字地獄へさようなら。私はちゃんと警告したよ。
ここから挽回するには、大成の所長と殴り合いをして日建とArupを外せるかどうかですわな。東京の人にそういう下品な真似はできんだろうけど。
ちなみに名古屋のJPタワーのお漏らし事故は、『こんな簡単なチョンボをする程度の会社です。ザハさんの難しい屋根なんてできません|ω・`)チラ 』という暗号だと思うのですが、通じなかった模様です。まさか天下の竹中さんがあんな凡ミスはしません(棒。

「戦犯」は日建・竹中・電通:FACTA online
内容を読んでないから知りませんが、大体見当がつく。
『いろいろ話し合って1000億の受注するぞ!ドヤァ!!』な営業役員が会社に帰ってきて『アホか!2000億するわボケ!!』と殴られるところまで鮮明に見えました。あんなもん誰もやりたがらないって。この利益重視のご時世。
日建さんが悪の大企業みたいなくくりですが、売り上げ300億しかない中堅企業です。動く金額からすると、ハナクソみたいな規模なんでいたわってやってください。


Yahoo!ニュース - <東日本大震災>岩手・宮城に追悼施設…21年春めど (毎日新聞)
通常ならばコンペなんだろうけど、やらないだろうなぁ。
だってコンペやると参加者であるはずの建築家がぐずぐず言い出すのは、昨今の新国立競技場で見たとおり。私が建築主なら、特命でやらすね。面倒だし。。。。

読了めも

土木コレクションHANDS+EYES

土木コレクションHANDS+EYES


土木コレクション HANDS+EYES
全国巡回の土木エンジニアリング図面の図録。何が素晴らしいって、内容の濃さもさることながらその価格設定。650円です。普通に出版したら3000円でしょう。この価格設定に、土木業界の皆さんの並々ならぬ熱意を感じます。学会の総力を挙げての宣伝ご苦労様です!
建築学会もトーキョー建築コレクションとかクソみたいなオナニー企画じゃなくて、こういうのをやってください。東京駅が素人カメラマンで満杯になったのを見たでしょう??
一番見たいのは、稚内港北防波堤ドームです。400mも続くギリシャ神殿風列柱は是非見に行きたいものです。なんでこんなデザインにしたかな・・・・。
北防波堤ドーム - Wikipedia
コルトM1851残月

コルトM1851残月

日本のエンタメ作家は時代物も書かないといけないという宿業でもあるのか、大変なものです。もっとやれ。『天地明察』のヒットでもわかるように、需要はあるのです。
阿・吽 1 (ビッグコミックススペシャル)

阿・吽 1 (ビッグコミックススペシャル)

最澄空海。これまたすごい目の付け所です。期待。
お代官さま拷問にて・・・・・。なかなかエグイものである。
靖国神社の下りで、中国・日本における死生観の違いは興味深かった。日本の場合は悪人でも適当にお祀りしますが、中国では末代まで罵倒するとのこと。確かに靖国神社に敏感なのは分かります。
私は中国については、中国の理屈でいろいろと仕掛けているので嫌悪感はあまりないのです。中華思想しようが勝手で、あくまでこっち来ないでねという程度。中国共産党も賢いもので、反日とはいうものの彼らのロジックは『過去の日本軍許すまじ。それを引き継ぐ現政府もけしからん』であり、現代日本人と天皇陛下については触れません。ここが韓国との大きな違いです。
最近中国の反日ドラマが向こうの人にも不評みたいだけど、突き抜け方が足りないよねぇ。コスモクリーナを携えて帰還する宇宙戦艦ヤマトを迎撃するみたいな筋書きでハチャメチャして欲しいと強く思います。
悲喜劇・一九三〇年代の建築と文化 (踏分道としての戦後)

悲喜劇・一九三〇年代の建築と文化 (踏分道としての戦後)

1970年代に1930年代を建築メインで振り返った本。今も連綿と続く『建築家の戦争責任』とやらについて語られています。私からすればバカバカしい限りなんだけど、建築家サークルの中では真面目に扱うジャンルらしいです。
五旗会、『現代建築愚作論』、 スターリニズムからの脱却 一九五〇年代における建築運動とその思想性 | 磯崎新+日埜直彦 聞き手 ‹ Issue No.44 ‹ 『10+1』 DATABASE | テンプラスワン・データベース

編集部──吉本隆明さんが詩人の戦争責任を言って登場し、花田清輝と論争したりしていました。それはちょうど五期会が結成された頃だと思います。建築家の戦争責任ということは話題にならなかったのでしょうか。
磯崎──僕より少し上の宮内、平良、田辺員人の世代は戦争責任論を言っていました。それは丹下さんに対する感情的な批判でした。丹下さんは戦争中の話は一切口を閉ざして何も言わず、別の世界で起こったことだという姿勢でした。唯一、戦争中に自分はこのようなことをやった、ときちんと言ったのは西山さんくらいでしょう。西山さんの「食寝分離論」は大阪の長屋を研究して、食寝分離できないと日本は近代化できないというものです。西山さんは政治的な立場からは反モダニストに見えるけれど、方法は純粋モダニストでした。

帝冠様式をめぐる議論と同じで、サークルの親玉を決めるための階級闘争にすぎないのです。大東亜建設記念営造計画コンペだけをもって丹下健三を戦争協力者として批判しているようなのですが、無理があり過ぎます。軍部に協力していた人なんてたくさんいたし、坪井善勝先生に至っては、陸軍と共同で木製飛行機の翼の開発を行っています。
建築家で絶対に戦争協力していないと断言できるのは、今泉善一くらいじゃないでしょうか。日本初の銀行強盗に関与して戦争中は牢屋の中だった昭和の怪人です。
この本を読んで何よりも絶望するのは、ナショナリズムがどうちゃらとか今と全く同じしょーもない浮ついた議論をしているところなのです。30年前と何も変わってない。

リスクにあなたは騙される (数理を愉しむ)

リスクにあなたは騙される (数理を愉しむ)

帯の推薦文が池田信夫だから買わない人が多数いそうです。とても良い本なので、ぜひに。
原発やら地震やら噴火やらで、リスクという単語だけが躍る現代。事実と心理が大きく離れることは、日本特有の問題ではなく、どの国でも同じようにパニックを呼びます。本書では理性を"頭"、感情を"腹"でとらえて、この二つには時間差があることを示しています。エンジニアの教訓としてよく上げられる『できますという前に三つ数えろ』というやつです。
様々なリスクを考える時に、Yes,Noの二元論に陥りがちですが、理性ある大人は保留という道を選べばよいのです。
大量の事例を引用しているため、読みにくい点もありますが大変良い本。
皇なつきさんのイラストが無いのが最大の手落ちです。それだけで買う価値が半減します。何とか頼み込んで紅子さんを書いてもらってほしかった。
私の専門が建築構造で、N大出身で、授業も受けていて、彼の研究成果を仕事に使っていて(高流動コンクリートのLフロー試験)となると、世の方々とは違った受け止め方なんだろうと思います。文系の方々は、専門用語の端々に何か私には見えない深遠なものを見ようとしているようです。
池田純一氏の評論から抜粋すると

構造力学における日本特有の課題というと免震構造、すなわち地震への対処である。そこでは地震という波動の解析が重要な研究対象となる。森作品では、物質に変わって波動が主題になることが多いが、もしかしたらそれも彼の研究対象の中心に波動があったからかもしれない。

私に言わせれば、噴飯モノの文章である。どっかのポモちっくな人を思い出します。ばーかばーかとしか思えないのですが、一部の文系の方々には深淵にみえるのですかね。。。。あと、有限要素法を用いた数値シミュレーションも頓珍漢な内容でした。清涼院流水の対談は良かった。相変わらずこの人は天才だよな。私には理解できんけど。
比較的、建築学科の学者としてフォーカスする内容が多かったのに、『アンチ・ハウス』が取り上げられてないのが不満。あれ、建築の実務をやった後に読むと抱腹絶倒の傑作です。森センセ、大人げなさすぎるよ。めんどくさすぎる施主だよ。そして阿竹先生もぶっ飛んでるよ。何言ってるかわかんねーよ。

アンチ・ハウス

アンチ・ハウス

森博嗣は、ウチの母も最初から読んでました。日記も愛読していたのですが、我が家における森博嗣の評価は『カール・ヘルムのパンツ!高い!』である。

メフィスト賞の系譜


メフィスト賞とは (メフィストショウとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
講談社の新人賞でメフィスト賞というのがありまして。私が中学生の頃にできた賞で、新本格華やかかりし頃話題だった賞です。基本的に読者を非常に選ぶイロモノが並んでいるというイメージで語られますがその通り。
最近書店で乾くるみ浦賀和宏の文庫が平積みになっているので、リアルタイムでこれらの超イロモノを読んでいた身からすれば目を疑います。どう見てもたくさん売れる作家ではないどころか、これらの作家が好きですとか言われるとドン引きするレベルです。
今にして思えば、少ない小遣いの中でこれらイロモノ本に目を付けた若かりし頃の私が馬鹿だったのか先見の明があったのか。なんだかんだで森博嗣なんかデビュー当時からすべて買ってますし。中学生には何かと衝撃的な内容だったのですよ。
これらイロモノ軍団の中での最狂格が『コズミック』の清涼院流水です。本人も座談会で言ってましたが、今まで『コズミック』ほど叩かれた小説はないでしょう。まだwebがそんなに普及してなかったけど、叩かれ方が尋常ではなかった。私も当然投げ捨てる側だったけど、今思うとキャラ萌え小説としてあまりにも早すぎた。当時はライトノベルが今ほどなかった中で、果敢に講談社という老舗でキャラ萌え小説を出したというのは10年早すぎた。2000年代半ばに出していれば、アニメ化間違いなしでスピンオフが大量に出来たし、同人誌も売れたでしょう。ものすごく惜しいコンテンツです。
その後も低調な時代もありましたが、なんだかんだで『引っ掛かりのある作家』を発掘して世に送り出す眼力はありますよね。生存率も比較的高いみたいだし、直木賞作家も出しています。

とかなんとか思ったのは、住宅特集2010年1月号の堀部安嗣建築設計事務所設計の物件を見て気が付いたのです。よーく本棚を見ると乾くるみ『匣の中』と浦賀和宏『記憶の果て』が腰帯付で並んでいます。題名まで良く見えないけど、字の並びからして間違いないと思うのです。
http://www.japan-architect.co.jp/jp/works/index.php?book_cd=201001&pos=4&from=backnumber



というわけで1話を見てしまいましたw
予想通りの出来です。テレビ局の方々が何を考えているのかがよーく分かりました。ディテールへのこだわりが全然ないよね。当然制作側は視聴者にはわからないだろうと思っているのでしょうが、そういう舐め腐った姿勢がダメなんだろうねぇ。大卒の方々が製作してるんだろうけど、お前ら本当に大学行ったことあるのかと小一時間問い詰めたくなりますw
逆に妙にディテールにこだわりがあるのが脳噛探偵ネウロ。段ボールおじさんが滔々と構造に付いて語るシーンの吹き出しの小さい文字が全て、建築の構造力学や材料力学に出てくる数式やイラストになっています。本人が建築やってたような気がしますが、ディテールがそこそこもっともらしいのは良いことかと思っています。

おお。森博嗣もついにユリイカに認められるまでになりましたか。

読了めも

ザハ・ハディッドは語る (The Conversation Series)

ザハ・ハディッドは語る (The Conversation Series)

何かと話題の暗黒卿ザハさんのインタビュー集。通り一遍のインタビューなので特に気になる点もないですが、まとまった日本語の書籍が少ないので悪くない本。
コンピュータの活用に関しては、特に本人は意識していない模様。彼女の場合は、演算可能なコンピュータによって想像力を縛ることで実作につながっているのではないかな。
脇!脇!
これで中学生とか、けしからんすぎでしょう。
トンデモニセ天皇の世界

トンデモニセ天皇の世界

大昔からニセ天皇とか、ニセ宮様というのが一大ジャンルだった模様です。近代で有名なのが熊沢天皇か。京極夏彦のなんかで取り上げられてたよね。現代人には忘れられて久しい。
オカルト神道業界もいろいろと変な人がいるということで。明治天皇の玄孫の竹田某は、この系列の人だと思ってたけどちゃんとした人だったのね。まぁ、頭の出来からすると偽物だと思われても仕方がないw
ヒトラー・マネー

ヒトラー・マネー

ポンド・ドルに目を付けた偽札流通作戦「ベルンハルト作戦」の内幕。
ベルンハルト作戦 - Wikipedia
戦争時に敵国の偽札を作るというのは、どの指導者も考えることで、ケインズまでもが検討に参加しています。
偽札作戦については、第2次世界大戦後のイギリス経済の凋落をもって効果があったとの見方を本書はしていますが、私は懐疑的。金本位制の場合だと、金との交換証書を偽造するものになるので意味がありますが、当時は金本位制を離脱しているので中央銀行の金融政策で対応できそうな気がするのです。また、札束で貿易のやり取りをするわけではなく、手形とかがメインであり、キャッシュの出番はそこまで多くないはずなのです。現金一括払いなんて、スパイの手当や横流し武器のやり取りなどに限定されるのでは?
今まではヴァイキングのローカルな陣取り合戦でしたが、レイフの描いた外側の世界の地図により一気に世界観が広がりました。歴史モノからSFへの転換です。外への希求はSFのメインテーマでもある。この物語の拡張感は、『クレイモア』の第2部と似たような感じ。
ビブリオマニア2名の対談。割とエンタメ文芸寄りの話が多いので身近に感じます。赤川次郎を高く評価しているのはいいと思います。多作家で内容がないと言われることが多いですが、初期作はハードな内容も多いし、登場人物が1歳ずつ年を取る爽香シリーズは誰にも真似できない前人未到の叙事詩です。
累計発行部数3億冊とか何やねん。あれだけ取り上げられているワンピースと同レベルです。これはすごい数だよな。国民的作家と言われてもおかしくはないのに、あまりに言及数が少なすぎる。
この人たちに比べれば、私などは本を読んでいないに等しいと毎度のことながら思います。にわかの代表格である長門有希の100冊のうち30冊くらいしか読んでないもんねぇ。
長門有希の100冊とは (ナガトユキノヒャクサツとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
科学と神秘のあいだ(双書Zero)

科学と神秘のあいだ(双書Zero)

地震原発津波・噴火・土石流・積雪などなど、ことあるごとに出てくるニセ科学の皆様。本書にもあるように、最大の問題は『善意』なのです。マスコミやらで怪しげな言論がはびこるのに眉をひそめる向きもありますが、あれは彼らが馬鹿なだけではなく善意があるから広めようとしているのです。いつぞやかも書きましたが、反知性主義とやらに一番接近しているのは、この手のモラリストであり、モラルなき科学者を排除しようとする現代の絶望。
ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)

ガセネッタ&(と)シモネッタ (文春文庫)

米原氏の本を読めばわかるように、彼女には知性も教養もあります。その彼女ですら、癌の怪しげな民間療法に動いてしまうのがこの問題の根の深さなんだろうなぁ。
新聞や週刊誌に建築構造のトンチンカンな内容が載るたびに血圧の上がる私としては、ニセ建築構造工学について適切な批判を学会ベースで行うべきだと思っています。
世界を戦争に導くグローバリズム (集英社新書)

世界を戦争に導くグローバリズム (集英社新書)

本来の題名は『世界を戦争に導くリベラリズム』でしょう。題名を見るといつものようにグローバリズム批判ですが、内容はリベラリズム(理想主義)批判になります。
これは前にもふれたように、観念主義vs現実主義の世の中に対する批評です。私としては頷くばかり。思想のバックグラウンドはともかくとして、私の最も嫌うリベラリズムは『物事を善悪』で考えることです。これは一番不合理であり、私の左翼的信条である『人間の知性と人智をもって事を成す』と対極にある思想になるのです。
私としては、頭の良い学歴の高い方々がもう少し物の善悪から離れて、損得や筋の良しあしで考えて欲しいものですが、そういう教育を全くしていないので無理でしょうねぇ。
概ね映画のPVから思っていた内容と同じでした。もうちょい現実と仮想空間の侵食とかひねりがあるかと思ってましたが、思っていた以上にストレート。映画封切り前に出版したのは失敗じゃないかなぁ。重症の釘宮病患者以外は見に行かないと思われ。
あと、いかにも狙い打ちそうな三木眞一郎はやり過ぎかと思われ。
七つの大罪(11) (講談社コミックス)

七つの大罪(11) (講談社コミックス)

実は10巻まで来て物語の全貌が全く明らかになっていないという。
SF界隈が妙に賑やかで結構なことです。かなりディープなのが並んでいるので、「最近のSFってどうよ?」と思う方にはおすすめ。
宮部みゆきの短編が一番良かった。この人のSF短編は間口も広いし、老人と子供という得意ジャンルでもあるし、定年後の爺さんが何すんねんという現代的テーマまでカバーしています。いくつか短編があるけど、まとめて出版して欲しいな。
表題作の長谷敏司もそれなりに。
野崎まどのチンギス・ハンが宇宙の草原を高速で駆けるお話。ハードSFの分野になるんだろうけど、チンギス・ハンが馬に乗って宇宙を書けている時点で草生える。アイディア勝ちだね。
酉島伝法はねぇ。SF読みやプロの作家ほど高評価になるのは非常によく分かります。絶対に自分では構築できない世界観なのです。それは分かるんだけど、通常小説と表現プロトコルが違いすぎるw彼の作品をプロの作家が翻訳して売るというジャンルでも成立するような気がします。
土漠の花

土漠の花

ソマリアで現地住民に包囲されて殲滅されそうになるというのは、日本版ブラックホーク・ダウンか。バイオ5を思いながら読むと吉。
自衛隊員の回想シーンやソマリア士族の説明などで、容易に参考図書が分かっちゃって、それらのパッチワークではあるんだけど、さすがに読ませる。

神田古本まつり

第55回 東京名物神田古本まつり 開催 - BOOK TOWN じんぼう - イベント情報 [2013年10月26日(土)~11月4日(土・祝)]
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北海道東海大学の除籍本と新建築1960年代後半投げ売りセール。普通はこの手の古雑誌は1500円ぐらいが相場なんだろうけど、300円の叩き売りだったので保護。
村松貞次郎の明治100年特集や、帝国ホテル保存運動など。
めぼしい物件は山口銀行本店や電通ビル、ジャパン・ファニチャー・センターなど。ごくごく一部で話題になったゲンプランの設計です。かっこいい。
東京オリンピック後の建築業界もちゃんと元気にやってるじゃん。2020年のオリンピックの後はすべての仕事がなくなるという妄想が業界でも幅を利かせていますが、そんなことはない。
いっぱい買ったように見えますが、会社行く前にも同量仕入れているのでこの倍あったりします。うへぇ。行きも帰りも鞄の取っ手がちぎれるかと思った。
今から40年以上前の雑誌だけど、やっぱ見るところたくさんあります。陳腐化された意匠もありますが、今でも通用する内容もたくさんです。さて、2014年の新建築掲載物件が2060年に振り返っても通用するかどうか??

あと、遅ればせながら建築趣味vol1ゲット。
建築趣味vol1
カトー設計事務所の業績をたどる同人誌です。これがめっぽう面白い。私は加藤渉氏に到達するのに、艦これ→海軍→武智丸→コンクリート船→RCシェルの順番でたどりついたけど、設計事務所としての業績は全く知りませんでした。伊勢崎市役所とか、打ち合わせで何度か行ったけど設計者まで調べようと思いませんでしたよ・・・・・。
先日紹介した三軒茶屋のシャーレン構造は、加藤渉氏が設計事務所を立ち上げる前の建物になります。
同人誌作者の磯達雄氏は、名古屋大学OBなのは知っていましたが、ミステリ作家の殊能将之氏とつながっていると先日初めて知りました。世間は狭いのか何なのか。

ハサミ男 (講談社文庫)

ハサミ男 (講談社文庫)