最低の基準?

建築基準法の第1条には

第一条  この法律は、建築物の敷地、構造、設備及び用途に関する最低の基準を定めて、国民の生命、健康及び財産の保護を図り、もつて公共の福祉の増進に資することを目的とする。

と明記されています。

ここで言う、『最低の基準』とは何でしょうか?
一般的には、憲法で規定されている私人の自由を拘束しない、程度の意味であると解説される場合が多いです。
構造業界の人とお話していると、どうも『最低限の基準』と曲解しているケースが散見されます。曰く、『基準法は最低限なので、それよりもスペックアップしました』。変な話です。法律の何処にも構造性能が最低であるとも書いていません。たとえば、接合部では保有耐力接合を求めているので、むしろ十分な余力を有しています。
過去の地震被害を見ていると、現行基準に則して構造設計を行う限りヒドイ目にあう確率はかなり低く抑えられます。個人的には、若干オーバースペックになっている部分もあると思いますので、耐震性能としてはほぼ必要十分ではないかと思います。
いったい何処で『最低の基準』=『最低の構造性能』という勘違いが広がったのでしょうか?割と有名な構造設計者でもこういった発言をされます。

日本建築構造基準変遷史 (BCJ books)

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欲しいけど、高いなぁ。