設計用地震動のはいぱーいんふれ

南海トラフ、東京・大阪も激しい揺れ 高層ビルに影響

高さ200~250メートル程度の高層ビルが共振しやすい5秒周期で見ると、東京都庁付近では、揺れる際の最大速度が大震災では毎秒50~100センチだったが、試算では50~600センチになった。大阪府庁の本庁舎付近では、同じ周期、同じ高さのビルで、大震災時は毎秒数センチから20センチ、試算で毎秒50~300センチとなった。

この文章に書いてあることが正しいとすると、600(kine)です。記者は素人さんなのでよく分かってないと思いますが、応答解析やったことある人間ならこの数字がどれほど馬鹿げた数値かが分かります。オイルダンパの限界速度が150(kine)だっけ?こんなもん、技術的にどうこうできる問題ではありません。というか、何をどう頑張っても設計不可能です。

防災科研は「重要な建物は、十分な余裕を持った安全対策を取ることが必要だ」としている。

まぁ、無理だね。こんなもん。

なんだか日に日に設計用地震動を大きくしようとしてますが、これは設計するなと言っているのでしょうか。私は別に超高層の設計を将来しないから関係ないのですが、到底正気とは思えないような模擬地震動を作ろうとしているようにしか思えません。地盤の解析をする方も、世間でどの程度の地震で設計しているのかを知ったうえでこの手の数値を発表しているのでしょうか?600(kine)に対応できる超高層なんて、絶対にと言っても過言ではないほど不可能です。むしろ、こんなとびぬけた数値が出てくる地盤のモデル化は妥当なんだろうか?と思っちゃいます。

東北太平洋沖地震の時に思ったのですが、日ごろから応答解析とかやってレベル2,3地震をお相手に構造設計している連中からすると、あれは小さくて素性の良い地震です。仙台の免震建物の変位が高々20cm程度だったようですし。
むしろ、EVが止まっただのシステム天井がどうのこうの言って騒いでいる大阪のWTCがさっぱりわかりません。地震があればEVが止まるし、物は落ちます。それが何か?と構造設計の人は言うべきなのでしょうが、くそまじめに騒ぐことで自分の首を自分で絞めているようにしか見えません。マゾですね。

と、超高層を擁護していますが、杭基礎はやめとけ。これは規制をかけてもいいと思います。地盤が柔いと、入力地震動が大きくなる、ロッキングで固有周期が伸びる、補強不可能と3拍子揃っています。どうにもならん。なぜに超高層マンションの広告にでかでかと杭基礎が自慢げに載っているのかが理解不能です。もうちょっと申し訳なさそうに杭打ってください。
あ、地盤の逸散減衰では得するかもしれません。
とりあえず、直接基礎<杭基礎という非常に不可思議なヒエラルキーはなんとかならんもんか。先日は、せっかく安く安全に設計するために直接基礎にしてやったというのに『なんで杭いらないんですか!?』と文句を言われたのがあまりに理不尽じゃ。