建物って壊れちゃダメなの?

杭を補修していたのに傾いたマンション
東北大・建築研究棟の被災で見えた新たなリスク
再現期間が500年と考えられている地震に対しては、部材の塑性化は許容されており、ぱっと見ぶっ壊れていて危険そうでも避難確保が建築構造物の命題になっています。つまり、法律では建物は大地震では壊れるようにできています。ただし、いきなりぐしゃっと壊れることは即人命に直結しますので『マイルド』に壊すように日々構造設計者は頭をひねっています。

上記2件はまったくもって、建築基準法の精神を守り、その役割を全うしているのです。
日経アーキテクチャの記事は最近腐っていますが、専門誌であるならばコメントは『これらの建物は性能を全うし人命を守った。よく耐えた。ただし社会情勢の変化により建物も財産であることから、これらの財産価値を守る建築技術の発展、あるいはそれを保障する社会の枠組みが必要である』と述べるべきでしょう。いろんなひび割れの写真やヒンジの写真を掲載して、『被害が出た!』と喜んでいるようですが、本当に専門誌なのか?
それから、建築学会も上記と同じことが言えます。東北大学は補強していなければ倒壊していた可能性があったので補強しました。
結果倒壊せずに人の命を守りました。
よく頑張った。
と評価するべきでしょう。でなければ補強を決意してお金を工面した大学側や設計者・施工者が報われません。
お偉い人が何を言おうが勝手ですが、いたずらに『被害被害』と連呼するのは癇に障ります。構造設計思想をすべて否定していることになります。現行の構造設計者をすべて見殺しにする気か?あんたらは。
本当にこれを大きな被害というのならば、建築基準法の精神をすべて見直すべきでしょう。


という建築基準法のお話をしても、一般の方は納得できないでしょう。
建物が壊れる前提なんて、誰も教えてもらっていないわけですから。
これは、設計者がちゃんと説明すべきとの声が上がっていますが、私は違うと思います。われわれ設計者は、国の法律・基準に従ってその範囲の中で設計行為を行っています。もちろん、個々の用件についての要請にはできる限りこたえています。国が決めた枠組みである以上、説明責任は国にあります。
先日、東電が『津波の想定が甘かった』と謝罪会見していましたが、とんだお門違いです。国が決めた指針の中でしか設計行為を行えないのですから、保安院が土下座するのが法治国家たるこの国で行われることだと思います。
まぁ、最近はすべての法律を無視して浜岡原発を止めるという暴挙に出てますので、人治国家の衆愚政治のお手本となりつつありますが。。。。


建築士の責任:四半世紀前の設計・監理を理由に書類送検
このオッサンは何を言っているんだ?
建物管理者は無責任ですか。
防水なんて10年持てば御の字なのに、50年間安心な建物を設計・施工しない限り有罪で、断罪すると?そんな都合のいい建物がどこにある?
業者にも生活があります。
建設業者を悪徳業者と断罪するのは個人の勝手で止めませんが、何なんだろうね。


日経アーキテクチャは糞な雑誌ですが、ひとつだけいいことがあります。
web上のコメントが、編集局の査読付とはいえ確実に掲載されることです。
ですので、コメント欄は必読です。
よくバトルが繰り広げられています。
どう見ても、本誌よりも熱いです。
雑誌をボロカスにけなすコメントが査読付で載るのは良いね。