世知辛い世の中

九段会館の天井崩落「原因の究明を…」遺族が警視庁に捜査要請
2.26事件の舞台で、耐震補強すらしていない建物。
全体が崩落でなくてまだよかったねレベル、のはずですが。
建物自体が建築基準法違反ではないので刑事罰は問われない、と信じたい。
最近そうでもないからなぁ。
もしかして、内装設計者が巻き込まれる展開でしょうか。

美濃加茂の妊婦転落:手すり外れ女児死亡 建築士を起訴猶予
20年以上前の設計で書類送検された建築士。
建築基準法違反でもないし、技術的には気が利いていないところもありますが、余りにこれは理不尽。時効はないのです。建物管理者の責任は?

耐震偽装損賠訴訟、姉歯元建築士にのみ賠償命令
確認審査機関、お役所大勝利の判決。
設計に思いつきで口を出すし、手数料と時間は取るけど責任は取らん!!
俺の言うとおりに設計しろ!!
責任はすべて建築士が取れ!

何なのこのふざけた法治国家
リスクを分散するのが世の常ですが、個人に集約しちゃってます。
そりゃ自殺者増えるわ。


設計者が責任重大なのは、重々承知の上ですが近年の消費者保護の下に、プロを徹底的に叩き潰して社会から締め出す風潮は一体何なのでしょうか。
東北の方で復興が・・・・というのはわかりますが、先般の法改正でかなり建築の人間が店を畳んでしまったため、東北にさける技術者の数が絶対的に足りない気がします。怪しげな建築家気取りは一山いくらでいますけど。


ちなみに、姉歯物件は関東には残っていましたっけ。
事件当時の騒ぎでは、震度5弱で倒壊の恐れですが、塑性変形したのかな?絶対にしていませんが。社会的には当時つぶしておいて良かったですね。実耐力が世間の目にさらされませんでしたし。これでもし姉歯物件の構造被害が皆無なら、あの事件は被害者無き論争でしかなかったことがばれてしまいます。


この社会情勢の中で、建築設計という職能はあまりにリスキーです。
おそらく、どんな些細なことですら訴訟になれば「注意義務不足」の名の下に民事裁判ではほぼ確実に負けるでしょう。建築基準法は、建物について完全に網羅されているわけではなく、グレーゾーンが多岐にわたることから、叩けば必ずほこりが出ます。
こんなので、有望な若い人間がこの業界に入ってくるわけも無く、もう終わったかなーと思います。


空気を読まずに「構造設計のあるべき姿」なんて夢物語をぶち上げるJSCAのお花畑発想がうらやましい。ただのバカだと思いますが。